【企業分析】アイコスに怯える、「超優良企業」JTの大誤算
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市場の主体がAからBにシフトする際には逡巡したら負けるわね。
でも、こんな事は誰でも言える(実行はなかなかタフだけど)。
問題は、A、B併存期間が長期にわたると予想された場合の戦略。
野村証券は90年代、何度もディスカウントブローカー(今で言えばネット証券)の議論をしていた。
その時は役員が煮え切らないのをわき目にイライラしていたけど、一方でどうすれば突破できるか脳内シミュレーションはさせてもらった。
結論は、「既存と全く別組織を作り」「看板・ブランドを同じく掲げたまま」「既存顧客カニバリを許して」「既存、新規共、各々の分野でのトップを目指させる事」。
これ、イノベーションのジレンマの手法とはかなり違います(そもそも邦訳が出たのは何年も後)。
野村は、日和って「野村ファンドネット証券」に着地してしまった。株や債券ではなく、投信のみを取り扱うというもの。
松井証券が稼いでいるのを歯ぎしりしながら見ていましたね。
本当にがっかりした。
この苦い経験は、スクエニでF2Pを立ち上げる際に、信じた手法は断じて実行する決意の糧になったけどね。
・・・閑話休題
早くプルーム・テック来ないかな。
JTさん、思い切って売ってね~
注目のコメント
JTの方とお話しすると、みなさん決まって「早くプルーム・テックを全国展開してほしい」とおっしゃられます。
ただ、営業現場の想定をすると、「紙巻たばことプルームのどっちをプッシュすればいいんだろう」と頭を悩ますそうです。
これから、JTがこの矛盾にどう立ち向かうのかが気になります。プルームテックは、前身のプルーム時代からフォローしているが、やはり薬事法の規制でニコチンリキッドが使えないのが痛い。アイコスは別の方式を採用しているぶん、タバコカートリッジの開発に手間取ったJTに先んじたと言える。が、JTも体制が整って来たので、反撃に転ずるだろう。
ここが全てをものがっています。
『PMIはアイコスを開発するにあたって、紙巻たばこを否定した。一方のJTは、紙巻たばこをいまだ否定することができていない。』
規制の効いた参入障壁の高い業界の中では、新規参入は一般的には起こりづらいと考えられます。さらに紙巻きたばこの長い歴史をみて、代替品の脅威に対しても備えはできていなかった。
しかしPMIという既存事業者が『既存事業を否定』して新たなる代替品を投入してきた。文章だけを見ると大したことはなさそうですが、新規参入にも代替品にも免疫を持っていない企業にとってみれば、あたかも見えない角度からパンチを打たれたような感覚でしょう。
このようなケースは、多くがテクノロジーを持ったベンチャーによって起こされるものですが、驚くべきは同業、しかも大手のPMIによる焦土作戦とも取れる代替品の投入です。新しいテクノロジーではなく、すでにある技術を使ってタバコのフレーバーと吸い心地を残したまま有害物質を90%以上カットする製品の発売。
・既存事業者による既存製品の否定
・参入障壁の高い業界の中でのイノベーション
・プロダクトスペック、デザイン、チャネル、価格、プロモーション全てが有機的につながっている
このような事例が他にないか探してみましたが、見当たりませんでした。
自社事業の否定による新規市場の創出。まるで火の鳥が蘇るときに自らの身を火の中に投じるさまによく似ています。
経営戦略の新しいケースとして活用できそうですね。