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「仮に、瑕疵担保責任の免除について石原氏が知事として知っていたとしても結論は同じだったと思います。民間企業である東京ガスの立場からすれば、法令上の安全対策をする義務はわかるが、「世間の空気」であるところの安心対策までを、青天井で引き受ける契約を結べるわけがないからです。豊洲以外に現実的な移転先の選択肢がなかったならば、その土地を確保する以外にはないわけだから、土地を入手して物事を前に進める上での必要な妥協だったということです」
僕が副知事になったばかりの2007年9月ごろに書いたコラム、「猪瀬直樹の「眼からウロコ」
築地市場の豊洲移転問題 nikkeibp.co.jp/style/biz/inos…」に当時の様子を現在進行形で書いています。
豊洲移転反対派は、汚染ゼロリスクを要求していました。汚染対策は徹底してやるべきだが、科学的にゼロはあり得ません。共産党と一部の反対派には移転で妥協点はなく原理主義的な反対ですから、失点を恐れる役人は過剰防衛に走り、そこにメディアが反対と加わって煽るので汚染対策費は青天井になる。豊洲は安全より安心、築地は安心で安全でない、これは不条理ですから。
この間の議論の焦点はズレています。問題は豊洲の建屋が600億円の予定価格が1000億円(落札率99%)に跳ね上がった不可解な事実。都議会のドン内田議員が役員の東光電気工事が落札JVの一員であり、議員と落札業者の兼任を禁止した地方自治法92条2項に公然と違反してある。同法は実質的な罰則規定はなく結論は議会の自浄作用に委ねられている。そうであるならば、今回の百条委員会のテーマはそこにあったはずなのだ。
石原さんはちゃんとプロセスを踏んで議会承認を得た上で最後のハンコを押してます。明らかに全く違いますよね。
なお、「地下水は飲用ではないから安全だ」という人がいますが、それは、議会を含めて皆が決めて都民にコミットしてきた環境基準が実際には満たされないことがわかった途端に、そのコミットメントを取り下げるという話なのですから、「ゴールポストを動かす」ことについて、都民の同意を得る手続き(その代表である都議会の決議でいいです)が必要であることに疑いの余地がありませんが、本当にそんなことを決められるのでしょうか。
移転しないとお金が浪費されるという方もいますが、移転したら赤字は5倍に膨らみます。短絡的な議論を避け、しっかりとした検証を重ねて結論を出すのが当然なのです。
>政治的嗅覚に優れた小池知事のこと、「世間の空気」の潮目の変化を嗅ぎ取っているのではないでしょうか。
瑕疵担保責任免除についても本日コメントしましたが、こちらも同意です。
その時の議論の一つのテーマが、まさにこの日記で指摘されている「安全と安心」です。直後に原発問題が起きたため、はっきりとこの話を覚えているのですが、その時の大方の議論も日記の指摘と同様、安全はある程度客観的な尺度で測れる一方、安心は主観の問題で、どこまで何をやっても万人にとっての安心は得られないというものでした。
行政官にとっては当たり前の意見・結論だと思う一方、世の中理屈だけでは通らないケースも出てくる、今回もまたその一つの事例かと思います。マスコミ的にはこうした議論や報道にならざるを得ないのはどうしようもないことかもしれませんが、行政の責任は、あくまで予算や時間の制約、様々な対立する意見、こうした条件の中で最適は無理でもなるべく悪くない答えを見つけ出し、実行することに尽きるのではないでしょうか。
政治的な意図や思惑、世の中受けを狙う報道などによって、行政が本来行うべき役割を果たせなくなるような状況に追い込むことだけは避けてもらいたいです。普通の人にとって何らプラスになることはありません。
過去を振り返り改善していくことは大切だけどそれ以上に大事なのは前に進んでいくこと。