【SPEEDA総研】進化するトイレと海外展開の行方
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今回は水廻りのなかでもトイレに焦点を当てて書きました。
大学時代、トイレの研究をしていたので、今回このようにトイレについて書けたことが嬉しかったです。トイレの研究をしていたころは、欧州に行き、いろいろなトイレをみてきましたが、用を足すためだけのトイレという印象が強かったです。
昔から、わたしはトイレ空間でふと思いついたことがいいアイデアだったりするので、トイレにいることは用を足す以上の空間です。なので、節水だけではなく、海外でも居心地のよいトイレ空間が増えたらいいなと思っています。
これからもトイレの進化を見届けていきたいと思います。日本を代表するトイレメーカーであるTOTOとLIXILは何から何まで対照的な経営スタイルで、アナリストとして非常に興味深い分析対象でした。
TOTOはもとの社名を東洋陶器といい、設立当初から東洋(アジア)、つまりグローバルに目を向けていました。何十年とかけて現地でのシェアを拡大させる戦略で、社員も工場も全て自前主義。上海拠点には何度もお邪魔しましたが、現地の日本人従業員の方々はほぼ準備期間なしで派遣され、語学や商慣習を徹底的な現場主義で叩き込まれます。トイレはまたの名を衛生陶器、まさに「焼き物」なので実は製造難易度が高く、土や水、人が異なる海外で歩留まりを維持するだけでも大変ですが、TOTOの海外事業は凄まじい生産性と利益率を出しています。
一方のLIXILは、建材のトステムと水回りのINAXらが統合して生まれた住設界のコングロマリット企業で、日本国内での拡大、統合を優先していました。海外展開はM&Aで時間を買う戦略。記事内では触れられていませんでしたが、買収したGROHE子会社のJOYOUの不正会計問題で巨額の損失を出してしまい、瀬戸新社長のもとでここから仕切り直しといったフェーズです。日本のトイレは独自の進化を遂げ、賃貸でもシャワートイレが当たり前になりました。駅やサービスエリアでも民営化で2000年代に大幅に改修が進んだと記憶しています。
使用水量がここまで減少したとは知りませんでした。デザイン性も格段に向上し、インテリアのような扱いをうける場合さえある。
海外でも需要はありそうなのに、まだ普及が進んでいない理由には、電源や水質の問題などがあるようです。
LIXILが買収による販路確保を図るのに対し、TOTOはキッコーマンやハウス食品なみの文化浸透戦略。アジアでも展開を始めていて、興味深い市場です。