100%人工知能のヘッジファンド誕生-株取引に人間の感情は邪魔か
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注目のコメント
AIのヘッジファンドを運用していたのでコメントします。
「AIシステムをシャットダウンしなければならない万が一の場合に備え、男性2人が取引を静かに見守っている。」は、「100%人工知能」ではありません。
結局、ブラックスワンのように学習データに含まれない事象が生じた時は人為的にストップすることになります。
ここで私の研究データを少し共有すると、
AIでチャートのパターン認識をするというのはある程度は有効ですが、「記憶効果」が続くのはせいぜい2、3日です。
ですので、数日から数週間の保有期間でシグナルが出るようにするには、価格変動データだけでは十分ではありません。
「価格変動データは、記憶効果は強いが持続時間は短い」という特徴があります。
一方、財務データではもう少し長めの「記憶効果」を持ちます。
例えば、「一株あたりの純資産」、「一株あたりの利益」、「一株あたりの配当」をファクターとして株のパフォーマンスを回帰して学習させるだけでも、一定のパフォーマンスが上がります。
しかし、「記憶効果」の強さ自体はあまり強くありません。
すなわち、「財務データは、記憶効果は弱いが持続時間は長い」という特徴があります。
なので、価格変動データと財務データを組み合わせると、パフォーマンスがより安定して上がります。
しかし、単体で一番パフォーマンスが高かった戦略は、世界中の全てのアナリストの発言内容を言語処理して学習させるというものでした。
結局、優秀なアナリストの発言は、価格変動や財務データに含まれないより多くの情報まで含めて判断しているので、一番情報量が多く、精度が高いということ。
もちろん、人によってパフォーマンスがかなり異なるので、優秀なアナリストの意見のみ学習します。
結局、「マーケットはランダムウォークに限りなく近いが、優秀なアナリストの成績はランダムウォークでない。ならば、マーケットの動きよりも人の能力をAIで解析した方が予測精度が高い」という面白い結果となりました。ヒトが行うトレーディングにバイアスが存在するという指摘に強く共感しますが(=そのためロボアドバイザーでは運用をできるだけ自動化します)、同時にいま現在のトレーディングにおけるdeep learningやニューラルネットワークの活用については岡村さんの指摘に賛成です。
もちろん、重要なトレンドではあるけど、この記事に出てくる大手クオンツファンドのAHLや、他にもWintonがディープラーニング始めAIへの投資を公言しているけど近年のパフォーマンス冴えないし、この分野で世界の先頭をいっていると見られているTwo Sigmaの創業者もAIの投資への応用はまだまだ課題が多いと指摘している。まだ本格的に広がるには時間がかかりそう。