電力全10社が値上げへ 3月、都市ガス4社も
コメント
注目のコメント
コメント拝読して、自由化についてかなりミスリードがあるのかもと気になっていたので、遅ればせながら参戦します。
小売の全面自由化で、料金設定もすべて「事業者の自由」になったと思っておられるかもしれませんが、料金規制は残っています。
正確には、新規の事業者には自由な料金設定が認められていますが、地域の電力会社(旧一般電気事業者)には、規制料金メニューを残すことが義務付けられています。自由化では取り残されることになる、使用量が少ない世帯(以前も電力自由化のニュースでコメントしたと思いますが、自由化されて事業者が「欲しい」と思う顧客は電力多消費世帯。1か所でたくさん使ってくれるお客さんがいいお客さんに決まっています。ですので、そういう顧客にはメリットが生じるメニューを作りますが、そうでないお客さんは加入しづらい、あるいは加入してもあまりメリットがあるメニューを作らない傾向になる)が不利益をこうむらないよう、規制料金メニューを残すことが義務付けられているのです。
このニュースはその規制料金メニューに関するものであり、また、規制料金メニューは以前から「燃料費の上昇、下落をスムーズに電気料金に反映させる」との趣旨から「燃料費調整制度」が導入されています。
燃料費が下落して引き下げとなるとあまり関心を呼ばないのですが、上がるときは関心を引くので勘違いされがちですが、自動反映させる制度であり、カルテルうんぬんとは関係ありません。
で、この規制料金メニューを残す義務を、地域の電力会社(旧一般電気事業者)がいつまで負うのか(経過措置期間がいつまでか)というのは結構重要な問題です。この規制料金メニューを安く抑えなければ弱者世帯にとって厳しい状況になってしまいますが、安く抑えてしまえば誰も新規事業者に移行しないので「自由化が進んでいない!(新事業者のシェアが伸びない)」という批判を受ける、という悩ましい状況が発生します。
バタバタしていてなかなかコメントできなかったのですが、かなり原点からお話ししてみました。当然既にご存知という方はご容赦ください。記事では原油や天然ガスの輸入価格上昇とありますが、実際は石炭価格の上昇が最も大きいかなと思います。輸入石炭価格は、昨年の6月頃まで6円/kg(55ドル/トン)で推移していましたが、11月には11円/kg(95ドル/トン」に倍近く跳ね上がり、石炭火力の依存度が高く、かつじりじり上がっているLNGや石油火力も高いところが特に上がっています。
下に列記した各社の電源構成をみると、いかに日本の電力が石炭を中心とした化石燃料に依存しているかがわかりますよね。
参考
石炭価格の推移
http://ecodb.net/pcp/imf_usd_pcoalau.html
電力各社の2015年度の電源構成比を値上げ順に見ると以下のようになります(各社ホームページより)。
■沖縄電力 114円値上げ
石炭67% LNG22% 石油7% FIT4%
■中国電力 86円値上げ
石炭56% LNG23% 石油10% 再エネ5% FIT5% その他1%
■東北電力 81円値上げ
石炭40% LNG36% 石油4% 再エネ8% 水力6% FIT5% 卸その他2%
■東京電力 81円値上げ
LNG66% 石炭18% 石油6% 水力4% 再エネ3% FIT3% 卸その他1%
■中部電力 78円値上げ
LNG60% 石炭24% 水力6% 再エネ4% FIT4% 石油その他2%
■関西電力 78円値上げ
LNG44% 石炭25% 石油15% 水力11% 再エネ等3% 原子力1% 揚水1%
■四国電力 71円値上げ
石炭55% 石油17% LNG7% 再エネ8% FIT7% 水力5% その他1%
■北海道電力 67円値上げ
石炭49% 石油27% 再エネ16% FIT6% その他2%
■九州電力 62円
LNG32% 石炭31% 原子力10% 石油8% FIT8% 再エネ6% 水力3% その他2%
■北陸電力 57円
石炭64% 水力26% 石油7% 再エネ3%
追記
電力自由化について勘違いされている方がいるようですね。まあ政府がそうさせているので無理もないですが。ここに書くには狭すぎます、、、