これほど過小評価されているソフトはありません


 10月12日。「ポケットモンスターX」「ポケットモンスターY」(ニンテンドー3DS用ソフト/希望小売価格:税込4800円/販売元:任天堂)が発売されます。

 このソフトほど、世間に過小評価されている作品はないかもしれません。人気シリーズ作であることは知っていても、子供たちを中心に人気のロールプレイングゲームでしょ?といった程度の印象しか持っていない人も多いように思います。

 とんでもない話です。1996年に1作目が発売されて以降、全世界でのシリーズ累計発売本数は1億6000万本を突破。スピンオフ作品まで含めた、すべての「ポケットモンスター」の名を冠したソフトの総売り上げは2億3000万本を越えました。これは、すべてのゲームの中でも、任天堂の「スーパーマリオ」シリーズに次ぐ、世界2位の記録です。

 さらにはポケモンカード、TVアニメ、映画、キャラクターグッズなどが全世界でビジネス展開しており、それらを加えた累計市場規模は3兆8000億円(日本:1兆7000億円/海外:2兆1000億円)になります。

 昨今、クールジャパンの名のもとに、アニメ、放送番組、映画、音楽などの海外進出が注目されていますが、それらの海外輸出額を合計しても、年間250億円程度といわれています。「ポケットモンスター」が、どれほど他を圧倒するモンスター・コンテンツであるか、おわかりになるでしょう。

(注:「ポケットモンスター」関連の数値データは、株式会社ポケモンの公式サイト内にある、2011年作成の「ポケモンビジネスを考察するー論文パンフレット」から引用しています)


8月17・18日に開催された「ポケモンゲームショー」の光景。新作が初めてプレイできるイベントであり、入場規制が行われるほどの混雑ぶりとなっていた。

家庭用ゲームでは珍しい“全世界同時発売”

 そんな全世界的コンテンツである「ボケットモンスター」シリーズが、今回の新作から、ひとつの大きな挑戦をしていることを、ぜひ知っておいてください。

 それが「全世界同時発売」です。

 テレビゲームは、販売する地域によって内容が変わります。販売する地域によってゲーム内の言語表記を変える必要があるからです。ゲームによっては、ゲームの内容そのものが違うこともあります。(地域ごとのユーザーの平均的な気質に合わせて、たとえば北米ではゲームの難易度を高めにする、といった調整をすることもあります)。

 このため、通常は、いったんゲームを完成させた後に、他の地域で販売するためのバージョンを作る、という作業を行います。これが「ローカライズ」と呼ばれる作業です。映画が完成した後に、それを上映する国に合わせて字幕をつけたり、吹き替え音声をつける、といった作業があるのと同じだと考えてください。

 多くのゲームが、発売する地域によって発売日が違うのは、このためです。たとえば前作「ポケットモンスター ブラック2/ホワイト2」は、日本での発売日は2012年6月でしたが、北米や欧州、オセアニアでの発売日は2012年10月でした。4か月のタイムラグがあったのです。このように、地域によって発売日がズレることは、いわばゲーム業界の慣習みたいなものなのですね。

 しかし「ポケットモンスターX」「ポケットモンスターY」は、この慣習にメスを入れてきました。最初から、主要言語をゲームの中に入れておき、ゲームをスタートしたときに選択できるようにしたのです。

子供たちは「ポケモン」で“オンラインの楽しさ”に出会う

 かくして「ポケットモンスターX」「ポケットモンスターY」は、1本のソフトで全世界に対応。そして家庭用ゲーム機のソフトでは珍しく、全世界での同時発売を実現しました。

 これは、全世界にいるファンにとって、大きな進歩です。

 というのも、現在の「ポケットモンスター」シリーズは、全世界のユーザー同士が、オンラインで交流できるように作られているからです。ある意味、巨大なSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)になっている、といってもいい。

 その鍵となるサービス名が「プレイヤーサーチシステム」。これた他のプレイヤーを探すことのできる機能です。世界中のプレイヤーたちとオンラインで繋がってポケモンの対戦をしたり、ユーザー同士でポケモンの交換をすることができます。

 また「ポケモングローバルリンク」というサービスに接続すれば、日々の冒険の記録がタイムラインとして記録されていきます。世界中のプレイヤーの冒険の様子を見ることも可能。友だち同士で進行状況を見て、お互いにヒントを出し、助け合うこともできます。

 世界中には、人生で初めて遊んだゲームが「ポケットモンスター」だ、という子供たちがたくさんいるのですが、それと同時に、人生で初めて出会う「オンラインで交流する楽しさ」を教えてくれるソフトでもあるのですね。

 オンラインの世界に国境はありません。だから今回、オンラインの楽しさを全世界で提供する「ポケットモンスター」は、ついに従来の慣習を打ち破り、世界同時発売を実現したのですね。これは、ゲームビジネスに興味のある方には、ぜひ知っておいてほしいポイントです。

パパサンタ・ママサンタへの購入法レクチャー

 さて。年末も近づきつつあります。自分のお子様へのクリスマスプレゼントとして「ポケモン」を考えている方もいらっしゃるでしょう。

 そこで今回は、「はじめてゲームを子供に買い与える」ことを考えているパパサンタ・ママサンタのみなさまに、ゲームの買い方をレクチャーいたします。基礎的なことばかりですが、ゲームに親しんでいない方は、ぜひ参考にしてください。

買い方1:ニンテンドー3DSと「ボケットモンスター」のセットを購入する
 ゲーム機とソフトを同時に買われるなら、「ポケットモンスターXパック/Yパック」(税込2万2800円)がオススメです。これは、最初からダウンロード版の「ポケモン」ソフトが入っているニンテンドー3DSです。ただし、クリスマス直前の商戦期などには、店頭からなくなっている可能性がありますので、ご注意ください。

買い方2:パッケージソフトを購入する
 ハードとソフトを別々に買うならば、いちばん楽なのはパッケージ版の「ポケットモンスター」を買うことです。昔ながらの買い方ですね。ゲームに飽きてしまったとき、ソフトを別の人に譲れるのもメリットのひとつです。もっとも「ポケットモンスター」は、何カ月にもわたって夢中になれるソフトなので、他人にあげることは、さほど考慮しなくていいかもしれません。

 なお、パッケージソフトも、クリスマス直前の商戦期には店頭で品薄になっている可能性があります。ご注意ください。

買い方3:ソフトをダウンロードで購入する
 ハードとソフトを別々に買うならば、ソフトをダウンロードで購入することも可能です。ニンテンドー3DSをネット接続する必要がありますが、パソコンを自力でネット接続できる人ならば、まるで難しくありません。

 ダウンロードする方法はいくつかありますが、ゲームショップやコンビニなどで売っている「ダウンロードカード」を購入し、記載されている手順通りにダウンロードするのが、いちばん楽です。もしダウンロードカードが売り切れていたなら、ニンテンドーeショップを初めとするオンラインショップからダウンロードしてください。こちらは品切れすることはありません。詳しくは公式サイトをご覧ください。