この連載について
すべての国民に対して生活に最低限必要な収入を給付するベーシックインカム(BI)。2017年は、フィンランドで国民の一部に、約7万円を配るパイロット試験が開始されるほか、米国でも、ベンチャーキャピタルの「Yコンビネーター」が試験を計画するなど、BIがいよいよ進み出す大きな年となる。社会保障だけでなく、国民の「働き方」を大きく変え得るBI。なぜ、今世界でBIが必要とされているのか、日本で導入される可能性はあるのか、ムーブメントの最先端をレポートする。
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たまに大企業にお勤めの方から会社を辞めて起業しようと思うといったご相談を受けることがありますが、そんなもん、就業時間後なり週末なりでやればいいじゃんと思ってしまいます。
皮肉半分ですが、何もしなくても月末の金曜になれば自動的にお金が振り込まれてくるという点において、月給はまさに「ベーシックなインカム」でしょう。みすみす放棄する必要もありませんし。
そう考えると、副業を認める会社が増えてくれば、会社単位での擬似的BIは日本でも実現していくのかもしれません。
もっとも、正社員という特権階級からこぼれ落ちた人々は蚊帳の外ですから、あくまで擬似に過ぎませんが。
AIの時代に一番富を得るのは「AIを所有する人」と言われます。だとすれば富を再配分するには、国自体がAIを所有するか、AIに対して重税をかけ、それを配分するしかない。言ってみれば産業革命で生産設備を持つ人が富を得るようにな際に、生産設備自体やそれを生み出す企業を国が保有し再配分した共産主義的な発想まで振らないと難しい気がします
ただ、角川の川上さんが数年前にこのことを指摘していたのが印象深い。産業革命が共産主義を生んだように、情報革命も同様の新たな社会的枠組みを生むだろう、と。やはり彼はすごい。
給付付き税額控除(負の所得税)なら経済学的にはほぼ同じ効果が得られ、財政負担は遥かに少なくてすみます。
何故、現実にすぐできる制度の議論が進まないのでしょうか。
そこには、実現可能なソリューションを求めるのではなく、ある種の閉そく感を打ち破る為、全てを解決する魔法の杖をかざして、世の中を全部作り直そうとするかつてのインテリゲンチャの「革命」の熱狂に似た様相を感じるのです。
確かに働かなくても、最低限の生活できる世界というのは理想郷に違いありません。
でも、それはかつて共産主義国家が目指した公平な配給による無料、無税国家と何が異なるのでしょう。
よしんばうまくいったとして、産まれながらにして、何もしなくてもお金が入ってくる「天賦の権利」を手にしてしまった人間は、果たしてマトモなモラルや、労働価値観を保持できるのでしょうか。
又その金額に満足し、決してそれ以上のBIの値上げを要求したりしないのでしょうか。
あるいは財政が破綻した時、リン鉱石が枯渇した後のナウルの様に、自分で生きる力自体を失ってしまったりしないとでしょうか。
私には、到底その自信がありません。
今の社会保障制度がいずれ崩壊するのは目に見えていますが、それでも私は一発で問題を解決できる様に見える魔法の杖に頼るのではなく、まずできるところから1つ1つ、地道に解決していくしか方法はないように思うのです。
つまらない意見で恐縮ですが、ユートピアは現実には存在しないからこそユートピア(何処にもない場所という意味)なのだと思うのです。
米国でも、全くBIと程遠いところにいたシリコンバレーの人々が、この数年で一気に運動を盛り上げていったのは、話を聞いて面白かったです。およそアメリカらしくない概念に賛同していることも。
ただ、もちろんコスト面も含めて、議論の余地は大ありなのですが、行政の裁量削減の以上に、予想以上に、多くの起業家らが「中間層の没落」「再分配」への意識を強めている感触を受けました。
ちなみに、ロバート・ライシュのBI説明が面白いです。
https://www.youtube.com/watch?v=UqESogRgrYw
孤独死、働き盛りのメンタル問題、貧困家庭の教育など、ちょっと想像するだけで、私は背筋が凍ります。
この状況に、いまから準備していくためには、企業はーー
・1日3時間程度の仕事でも、ゆとりある生活がなりたつ報酬を提供する
・自宅で勤務できる体制を、早急に実現
・AI・ロボット活用により、高収益をうむビジネス創造(とくに外貨をうむ可能性をもった事業)などなど、とにかく桁が変わるほどの、収益力をもたらすビジネスを創造していかなければならないです。
しかしながら、企業の収益力だけでは、この断層に橋をかけることは、現実的にできないでしょう。また政府としても、BIの財源確保 ーー これも現実的に難しい。
となると、非営利組織がかなり社会的な主軸的な役割を果たしていかなくてはならないです。「助け合いのネットワーク構築」を、いまから始める必要があります。
普通に考えれば日本では議論にならないと思います。日本はさすがに老い過ぎました。あらゆる政策議論が大票田の高齢者を向き、未来についての議論が一向に深まりません。
起業家たちが自分達の利益、新しいものを生み出す欲求だけでなく、社会システムにも気をまわすことが素晴らしいと思う。視野が広い。