バーゼルIII承認延期、資本額で合意できず
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そもそもの背景は、銀行に自己資本比率の計算を委ねると自己に甘い評価を行う(つまり高めの比率にする)という疑心暗鬼。きたのあつしさんが詳細に解説されてますが、一部欧州銀行などへの影響から先送りとなった模様です。
リスク評価を銀行任せにしない方向に行くほど所要資本計算がラフになる一方、高度な評価(銀行の内部格付け)にするほど銀行の信頼性が不可欠となるというジレンマです。
個人的には、監督者が個別銀行の評価を厳格に精査することが基本で、銀行の裁量を減らして一律評価するような原始的な仕組みの採用ではないと思います。これまであまり表に出ていませんでしたが、銀行にとってはこの新しい規制の内容如何で経営に大きな影響を及ぼし得るニュースです。
日本語のニュースになると「床?」も含め何を言っているのかサッパリわからなくなるのですが、簡単に言ってしまうと、これまで自己資本比率を計算する際、先進的な銀行はリスク計測モデルを使ってリスク量を計算することが認められていた。金融危機後、アメリカの当局をはじめモデルに対する不信感が高まったため、基本的にはそれを認めずみんな共通の簡便な方法により計算する方向で議論が行われて来ています。
「床」は、モデルの使用は引き続き認めるものの、モデルで計測するとリスク量が小さく出てくる(銀行にとっては得)のを、簡便な手法で出て来たリスク量の一定値(フロア)を下回ってもそれ以下にはさせない、すなわちモデル使用のメリットを抑制するというものです。
フロアが導入してされると、これまでリスク計測モデルを使い、リスク量を小さく抑えることが出来ていた銀行がそれをできなくなる。もちろん概ね大手の銀行は厳しくなるんですが、銀行により影響は異なりますし、今経営環境の厳しい欧州の一部の銀行にとっては自己資本比率が下がってしまうため死活問題、であるので揉めていて最終決定を先送りというのがこのニュースの背景です。資本規制は、非常に割り切ってみると、
①ある種の「えいやっ」で決めたほうがいいのか。
②それぞれの事情を精緻に判断したほうがいいのか。
という考え方のスタンスの違いがある。
本当は、②の方が①よりよいはずなのだが、
③どうしても②は手心が加わるリスクが高くなる。
④金融リスクなんてどうせわからないのだから、精緻に考えても詮無いところがあり、割り切りも必要。
という点があり、そこで①②の間を揺れ動いているとみて、一般ユーザーは大過ないと思う。