【中野円佳】2017年のダイバーシティ推進、3つのキーワード
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企業の人事の方々の関心、海外で注目されている論文や分析結果、政府会議の動きなどから3つのキーワードをあげてみました。もちろん企業規模などによりフェーズの差がおありと思いますが、方向性としては「女性活躍」からこちらに向かうのではないかと。
ダイバーシティと言いながら採用の段階で二の足を踏んでしまうのは、強靭な解雇規制と終身雇用の文化が根付いている日本の雇用制度のため、つまり出口のハードルが非常に高いので必然的に入口のハードルも非常に高くなるムラ社会であるためだと考えています。
また、運良く採用されたとしても、社会的制約を持った方は非正規雇用となることが多く、正社員と非正規雇用の間に合理的とは言えないような大きな待遇の差があることも問題だと考えています。本当にダイバーシティ&インクルージョンを認めるのであれば、正社員制度をなくし全員年俸制の契約社員となるような社会へ移行していくべきなのではないでしょうか。
とりあえず受け容れようよ、でも同一労働同一賃金で評価するよ、もちろん合理的配慮はするよ、でも明らかに能力不足の場合は契約内容を変更・解除してもらうよ、という流動性ある社会になって初めてダイバーシティ&インクルージョンが生きるのだと思います。「無意識の偏見」が社会から少しずつなくなっていくことは本当に大切だと思いますし、女性(マイノリティ)の側も多少の偏見がある状況を使いこなせるようになると良いのだろうなと感じます。
私の会社は担当パートナー制という新卒採用の仕組みを取り入れており、ひとりのパートナー(ざっくり言うと偉い人)が独自の採用方針のもとでひとりを採用します。私を採用したパートナー(すでに退職しています)は、能力が同じであればマイノリティを採るという基準を持っており、結果として女性を多く採用してきた人でした(もちろんマイノリティかどうかの軸には男女以外もあったと思います)。特に小さな組織では、いろいろなバックグラウンドを持つ人がいた方が絶対に良いという考え方の人でした。
仕事をしていて、社内でそのような雰囲気を感じることは全くありませんが、クライアントからは「女性なのに意外とちゃんとやるな」という反応をされることは正直まだあります。私はそれをちょっとお得なことだと思っていて、「ちゃんとやる」という前提はあった上で、属性が珍しいことを理由に少しだけ評価されやすい・そして一気に信頼されやすいのはラッキーなことだと捉えています。もちろん媚びているように取られることがあっては一発アウトだと思っているのでそこは慎重にしています。
こういったあり方を女尊男卑だと目くじらを立てる人は世の中に一定数いるのでしょうが、「ちゃんとやる」という前提を満たしているのですから堂々としていれば良いのです。別に求める基準に対して下駄を履かせているわけではないのですから。
私がこうやって図太く(笑)いられるのは、冒頭の採用の話なども含めて、ちゃんとやったことをちゃんと評価してもらえるという周りの環境にたまたま恵まれてきたからです。そのように思える人が少しでも増えてほしいと思いますし、自分が評価される場所を自分で選べるようになっていくと良いのだろうなと思います。