花王を「優等生」たらしめる会計財務部門の存在
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地味な印象こそありますが、花王は財務戦略を経営に活かしている日本を代表する優良企業。
USJ復活のキーパーソンにして一級のマーケターである森岡毅氏は、そのP&G時代の若き日に花王のコンパクト洗剤「アタック」の大ヒットで辛酸を舐めたと述懐しています。
森岡氏曰く、マーケティングが雌雄を決する消費材業界での肝は「数字に熱を込める」経営です。
冷静な経営判断をするためには精緻な市場調査と定量分析が必須。
トップが数字に基づいて戦略決定をした後には、現場の人間が「戦術」を実行する必要があります。
花王が優良企業である所以は「数字に強い優等生」だからではなく、「数字に熱を込める」経営を貫徹していることに尽きると思います。花王、EVAが機能しているのか。EVAは00年代前半あたりにかなりブームになっていた印象(当時書かれたような本を見るとかなり書かれている)があるが、最近は以前ほど聞かない。でも、資本コストを消化したうえでリターンを生むことができる(超過リターンがある)というのが上場企業のリターンとして求められるもの。
下記①で花王のROEも見れるが、日本企業の中ではコンスタントに高水準。とはいえ、たとえばP&G(②)と比べると低い。売上規模では5倍差、グローバルブランドの強さが顕著に出るところ。日本にいる消費者として商品差は感じない(むしろ花王の方が強いと思うくらい)なのだけど…
①https://newspicks.com/company/SPD36FHS7NRCMEIG?t=chart
②https://newspicks.com/company/SPD2VNVCTJLY2ZOW?t=chart花王のEVAは生きていますが、それは変化しています。今では花王を経営するトップマネジメントの世界での話であって、各事業マネジメントでの活用(事業管理、事業評価)は諦め、事業管理はPL重視になっていると聞きます。なぜなら理解されず、浸透できなかったから。
しかしその一方で、今でも個別投資案件のGO or Not GOの世界では、投資する国別かつ事業別にWACCを定め、IRR、NPVそしてEVAと、その投資の是非を判断しているとも聞きます。
EVAを経営に取り込む動きは1990年代後半にHOYAや旭硝子を始め複数の名だたる大企業が取り入れ流行りましたが、2000年代前半にその複雑さから実質的に形骸化している企業も多い。SONYはやめた有名な事例。HOYAもそうらしい。
このEVAという評価指標は、理論的に非常に優れたものであるけれども、運用にはとても困難を伴う。そういう意味で、花王が今でも使い続けているのは着目すべきことかと思います。
上述したとおり、EVAは今では若干廃れた指標かもしれませんが、個人的には、再びEVAが流行る時期がくると想定しています。
EVAを社内に浸透させるキモは、トップのコミットですね。トップがいかにそれを理解し、浸透させるか。財務部門だけでは無理です。