【末近浩太】トランプ勝利がムスリムに与える「3つの負の影響」
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トランプ氏は立候補と選挙選のなかで、イスラーム教徒(ムスリム)に対する発言でも注目を集めました。気鋭の中東研究者の末近浩太氏(立命館大学教授)に解説を依頼しました。ISなど過激派/武装闘争派にとってはむしろ攻撃材料が増えて歓迎、しかし、一般のムスリムにとっては今後のトランプ政権の政策に不安が残るーーー。
ロンドンでの在外研究から帰国したばかりの末近さんの論考、是非、お読み下さい。
なお、末近さんの論考は「中東読解」からもお読みいただけます。
https://newspicks.com/user/9281>トランプ氏によるムスリムに対する差別的な発言や「米国第一主義」の姿勢などを見れば、これまで以上に誤解や不信に満ちた不幸な関係になると悲観せざるを得ない。
トランプ氏はイスラム教徒をアメリカに入れない、と言っているのではなく、イスラム過激派の国からの入国者を制限するようにキチンとスクリーニングするってことで、トランプはイスラム教徒を差別しようと言っていないです。
また、トランプ支持者がイスラム教徒を差別し始めたという点も、共和党員というより、トランプの名を借りた不届き者達であり、昔からの伝統的な共和党員の本意はそこにはない、と言われています。メディアの報道をみていると差別と偏見に怯える一方で期待を寄せる人も少なくない。
トランプとその支持者が悪魔呼ばわりされる原因となった、形ばかりにこだわって本質的な部分を無視する『政治的表現』に流されないと訴える姿を見て彼らの主張もまた一様ではないと感じます。
立候補しても女性票は取れないだろうと言われてきたトランプ氏ですが、53%の白人女性がトランプ氏へ投票してます。必ずしもメディアが市民の「真実の声」を伝えてこなかったかが見えてきます。
既に特集されたように「トランプ支持である」と表明しづらい空気が、アメリカ全土を覆っていた部分があるのかもしれません。
「沈黙のトランプ支持者(silent secret Trump supporters)」がムスリムにも生まれた背景には、言葉の「適切さ」や「正しさ」など関係なく正直に発言をするトランプ氏や、トランプ氏を支持する人間が、あたかも差別主義者であるかのように扱われてしまったこともあるのではと思います。
トランプ氏の勝利は、耳触りが良いことのみ話して本質的な議論をしない政治家や、本音で語り合うことを避ける社会に対して嫌気がさしたアメリカ市民の一種の本音の表れといえるのではないでしょうか。