アマゾンは食品宅配サービス「フレッシュ」を米国7都市とロンドンで提供している(REUTERS)

 米アマゾン・ドット・コムはコンビニエンスストアの導入や車まで商品を届ける拠点の設置で食品・日用品事業を拡充する計画だ。この件に詳しい複数の関係者が明らかにした。

 それによるとアマゾンは農産品、牛乳、肉製品など生鮮食品を販売する小規模な実店舗の設置を目指す。注文は主にモバイル端末または店舗周辺に備えるタッチスクリーン端末の利用を想定している。ピーナツバター、シリアル類など日持ちする商品の同日宅配サービスも提供する可能性がある。

 買い物のスピードを重視する顧客向けには、オンラインで受注した商品を車まで届けるドライブイン拠点を間もなく打ち出す予定だ。待ち時間の短縮に向けてナンバープレートを認識するシステムを開発中という。

 アマゾンの広報担当者はコメントを避けた。

 この食品販売の実店舗設置計画は社内で「プロジェクト・コモ」と呼ばれている。当面は食品宅配サービス「アマゾン・フレッシュ」の会員限定で提供する予定だ。アマゾンは先週、フレッシュの会費を年299ドル(約3万1000円)から月14.99ドルに変更した。フレッシュは年会費99ドルの「アマゾン・プライム」の会員だけが加入できる。

 アマゾンは新しい店舗を設けることで、食品を自分で選んだり、仕事帰りに受け取ることを好む人々を多く呼び込みたい考え。食品・日用品の量販店や、独自の商品受け取り拠点の充実に動いている小売り大手ウォルマート・ストアーズに真っ向から勝負を挑む狙いだ。このほどインターネット通販の新興企業ジェット・ドット・コムを買収したウォルマートは、来年末までに全米約4600店の4分の1近くに店外の商品受け取り拠点を設ける計画を明らかにしている。