【求人掲載】これが新生リクルート。異才が集う「チームAirレジ」の共創力

2016/9/21
※現場リポート動画あり
リクルートライフスタイルが提供する無料POSレジアプリ「Airレジ」は、店舗業務を支援するソリューションとして急成長を続けている。当初よりその優れたビジネスモデルが注目されてきたが、ローンチから3年を経て、実際に世の中の“商売”にどのような影響を与えているのか。また、リクルートのなかでも突出したメンバーが集まる「チームAirレジ」とはどんな組織か。2つの現場からリポートする。

レジから「お店の経営と運営」を革新

「われわれが目指すのは、『商うを、自由に』という世界観。Airレジは単なるPOSレジアプリではなく、これからの時代に求められる“多種多様で自由な働き方”を実現するサービスなんです」
リクルート内の有志数名が集まってスタートした「Airレジ」を統括する大宮英紀氏は、サービスの成り立ちをこう語る。
2013年11月にローンチした「Airレジ」は、クラウドによるPOSレジアプリだ。iPadやiPhoneを端末として、注文・会計から売上データの管理・分析まで、簡単な操作で使いこなせる。“レジ機能の利用は無料”という導入コストの低さもあり、中小規模の飲食店や小売店、サービス業などを中心に、すでに24万店舗以上に導入が進んでいる。
さらにカード/モバイル決済や予約管理など、必要に応じて「Air」シリーズのアプリと連携することで、店舗運営の業務支援ソリューションが一通りそろうことも人気の理由だ。
「元々リクルートは『ホットペッパー』などの広告事業を通して、スモールビジネスに携わる方々との接点がありました。そこで私が知ったのは、事業のオーナーが“店長兼スタッフ兼経理”と一人何役もの業務をこなしていたり、リソースの不足を超長時間労働で補っていたりと、業務負荷の高さに対して有効な手立てがないという状況です。

スモールビジネスは、ひとつひとつは小さくてもトータルでは巨大な市場。そこが抱える課題に踏み込み、具体的に業務を改善するソリューションを作れば、圧倒的なインパクトを生み出せる。ひいては日本人の働き方にイノベーションを起こすことができる。その思いがAirレジのスタートラインでした」
Airレジの事業を統括する、株式会社リクルートライフスタイル 執行役員の大宮英紀氏。
どんな商売であれ、「会計」はビジネスの根幹を担う。それゆえレジに着目した。街にある店の1日のオペレーションを洗い出し、業務負荷を軽減できる仕組みを作り上げていった。
「テクノロジーが世の中を次々と変えていくなかで、“事業規模が小さいから”という理由で取り残されてしまうお店があってはいけない。Airレジは、空気のようにどこにでも存在して、当たり前のように使えるサービスになるように『Air』と名付けました」

リアルタイムの経営判断をサポートする

では、実際にAirレジが導入されている店舗では、どんな使われ方をしているのか。
MADE IN JAPANの腕時計をカスタムメイドで提供するベンチャー企業「Knot」の代表取締役社長・遠藤弘満氏は、オンラインショップから始めた事業をリアル店舗に展開するにあたり、Airレジの導入を決めた。
「Knot」の代表取締役社長・遠藤弘満氏。オンラインショップを軸として、吉祥寺・横浜元町・心斎橋・台北にリアル店舗を展開している。
導入のきっかけは、単純に「タブレットで会計ができる」という見た目のスマートさが理由だった。しかし、店舗をオープンしてみると、「Airレジ抜きでの経営は考えられない」というほどに、Airレジの機能をフル活用することになったという。
通常の“ガチャレジ”で売り上げデータを管理するには毎日データを手入力する必要があり負担が大きいが、Airレジでは会計時に入力したデータがそのままクラウド上で集計され、リアルタイムに分析を見ることができる。
また、1日の終わりに行われる「レジ締め」に掛かる時間も、Airレジなら従来の1/10以下で済む。経営判断の効率化とともに、スタッフのワークライフバランスの向上にも寄与しているという。
※さらに詳しいインタビュー内容、現場の様子を動画で配信しています。

ビックカメラに「Airレジ サービスカウンター」を設置

一方で、Airレジは今年4月からビックカメラと提携し、iPadや周辺機器の販売、Airシリーズの使い方の相談などもできる「Airレジ サービスカウンター」の設置をスタートした。なぜ、無料のレジアプリを量販店が売るのか。特命プロジェクトとしてカウンター設置を実行したビックカメラAS事業部 事業部長の井谷武志氏は、Airレジと協業する狙いをこう語る。
「ビックカメラに来店するお客様の中には事業主の方も多く含まれますが、これまで事業主の方と、そうでない方を区別することが出来ていませんでした。Airレジ サービスカウンターを設置したことで、商いをしているお客様に対して継続的な接点を持てるようになったのです」
「Airレジ サービスカウンター」の設置を推進するビックカメラAS事業部 事業部長の井谷武志氏。
カウンターを訪れるのは、飲食、小売り、サービス業の事業主が中心だ。第1号店となった有楽町店には、設置初日に「触って操作感を確かめたい」と遠方から新幹線に乗ってやってきた事業主もいたという。
ビックカメラは、厨房器具などの店舗用品を専門に扱うECサイトを立ち上げ、50000種類の品ぞろえを用意して、Airレジ サービスカウンターで契約した顧客に向けて販売する事業を開始している。
「設置から4カ月で500社以上の成約があり、需要の大きさを感じています。今後も毎月2~3店舗、全国に新たなAirレジ サービスカウンターを設置していく予定です」(井谷氏)

リクルートのなかでも異才の集うチーム

これまで、リクルートの事業はBtoCの両者をつなぐ「リボンモデル」のメディア・広告ビジネスがその中核を担ってきた。しかし、Airレジを“グローバル市場で戦える事業”に成長させるために、大宮氏は従来のリクルートの文脈とは異なるビジネスモデルと、それを実行するチーム作りにこだわった。
Airレジのセールス戦略を立案しているチーフストラテジストの田中大輔氏は、昨年11月に”チームAirレジ”に加入するまではアップルに16年間勤め、主にコンシューマ、エンタープライズの営業戦略を中心に、米国本社での営業企画も経験してきた人物だ。
「アップルは説明書のないコンピュータデバイスの会社であり、Airレジは説明書がなくても使えるレジアプリの会社。ここなら本当に価値あるサービスを、広くグローバルに展開していけると思ったんです」(田中氏)
リクルートライフスタイル ネットビジネス本部 ストラテジックセールス部 部長 チーフストラテジスト 田中大輔氏。
入社後早々、前述したビックカメラでの「Airレジ サービスカウンター」の設置を実現したのも田中氏の手腕だ。これほど対面での販売にこだわるのは、「オンラインとオフラインはセールスの両輪」という戦略に基づく。
「情報感度の高い人には、オンラインだけでも十分伝わる。しかし、デジタルに慣れていない人たちにAirレジを届けるには、直接顔を見て、必要な情報を提供して、安心感を持ってもらう必要があります。レジはスモールビジネスの根幹だからこそ、なにより信頼が重要です」(田中氏)

セールスを「神速」で支えるデータ分析

一方、こうしたAirレジのセールス戦略は、独自のデータサイエンスによる支援システムを開発・運用する部隊によって強力にバックアップされている。そのデータマーケティングの仕組みを作り上げたのが、入社7年目の“生え抜きのエース”井原真吾氏だ。
「リクルートはこれまでの事業によって、世界的にもほとんど類を見ない“スモールビジネスの事業者側のビッグデータ”を膨大に蓄積しています。これを活用したビジネス開発は、まさにバージンスノーと言える領域。非常に興味をひかれました」(井原氏)
井原氏はエンジニア、データサイエンティスト、ビジネス開発のメンバーを集め、それぞれが有機的に連携して膨大なデータを有効活用するための専門部隊を作った。その最大の成果のひとつが、営業・カスタマーサポート支援システムの「Air God」だ。
「Airレジは、ユーザーであるお店の方々が、店舗業務でスムーズに使えているかどうかを常にウォッチしています。どこかで離脱、すなわち利用を中断しているなら、何らかの原因があるはず。そこでサポート担当者が電話などでコンタクトを取れば、不具合が解消されてアクティブに戻る確率が高い。利用状況のステータスに応じて、最適な対応を効率よく行うための仕組みです」(井原氏)
リクルートライフスタイル ネットビジネス本部 クライアントソリューションユニット リアルマーケティング開発グループ 井原真吾氏。
「Air God」はオンライン地図とも連動し、マップ上でAirレジアプリを導入しているユーザーの状況を確認できる。「Air God」をはじめて見たとき、前述の田中氏は「これはアップルにもなかったすごいシステムだ」と感じたという。
「Airレジのアプリは無料なので、ステータスを見て潜在的な顧客を発掘し、継続利用につなげるというセールスの最適化ができる。井原は『爆速を超えた神速で動けるように』という意味でGodと名付けたそうですが、これならグローバル市場のスピード感のなかでも十二分に戦えます」(田中氏)

リクルートが世界で勝ち抜くために

国内において、リクルートは“営業アセットの優位性”を大きな武器として、さまざまな事業を成長させてきた。しかし、Airレジはデータ分析とオン・オフ両輪のセールス戦略を融合させた、新しい成長モデルを形作りつつある。
現在、Airレジは日本でのシェアを拡大しながら、さらに世界へと舞台を広げるべく、試験的にいくつかの国で導入を始めている。事業を統括する大宮氏は言う。
「日本で優勝できるチームを作るのと、世界で戦えるチームを作るのとではスタートからして違うはず。Airレジは、事業の立ち上げ当初から世界にターゲットを置いてきました。田中や井原のような突出した『個』が集まってきたのも、そういう背景があるからだと感じます。
世界を相手にした場合、これまでのやり方では限界があるのも事実です。多くの方から選ばれる強力なプロダクトを作り続け、そして多様な販売チャネルを自在に駆使することや、それらがデータドリブンで効果的にワークし続け、グローバルでサービスが広がっていくような成功モデルをAirレジで作り、リクルートが世界で戦うための新しいフレームワークにしていきたいと思っています」
(編集:呉 琢磨、構成:大高志帆、撮影・動画:下屋敷和文)