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他方、国家は国民の安全を守る義務があります。
(安全を守ることと引き換えに権力を委ねている訳ですから)
ですから、救出には全力を尽くさなければなりません。
難しい局面ですが、最大限の努力を払っていただきたいと思います。
交渉の結果、残り21人は無事解放されましたが、政府が警告したにも関わらず危険な地域に勝手に行った為、国内世論は自己責任論が殆どで非難の声だらけでした。
身代金については未発表ですが、たぶん相当な額が支払われたものと見るのが妥当でしょう。
この当時は現野党が政権を握っていましたが、保守政権だったら違う結果になっていたかもしれません。
もし日本だったらどうなっていたのでしょう。1~2人ではなく20~30人の民間男女が人質になったら日本政府の対応・日本国民の判断は変わるでしょうか?
身代金がテロ資金に流用されるのが一番のネックとなるなら、例えば飛行機ハイジャックで200~300人が人質になった場合、政府は巨額の身代金要求に応じるべきでしょうか?
第三者が誰かの自己責任を責める感情は理解は出来ますが、事の本質とは違うと思います。身代金を払うと誘拐テロ増加を誘発し国民の危険が高まるという点が最も難しいところでしょう。
ではどの位未来の危険が高まるのか?未来のまだ起きていないリスクの為に、現在目の前で自国民が死に直面している危機に目をつぶるべきなのか?
この問いに対する回答期限はあまり残されていません。
安田さんが解放されたら、そこからもたらされる情報はシリア情勢を理解するうえで有益なものになる。それだけでもシリアに行った意味はあるのだが。
政府・外務省が昨年来本件にほとんど触れないのは、実際にはかなり具体的な交渉を行い、そして難航しているのだが、交渉経過をプレスリリースしてしまうと安田さん本人の身の安全を確保できない可能性があるためと考えた方がよいだろう。
ヌスラ戦線の提示している身代金がいくらであるかは不明だが、諸外国の場合は公式に身代金支払いを行っていないだけで、実際の交渉にあたっては何らかの形で身代金支払いを行ってるのではないかと思う。「身代金を支払うことはテロに屈することになる」というのが国際常識として認知されていると言われがちだが、実際には「身代金を支払うことはテロに屈することになるが、公にならない形で身代金を支払う」ことが国際常識となりつつあるように思う。
無事で帰って来て頂きたいですし、何とか解決の道がないものかと願います。こういう映像は本当に悲しいし、何も出来ないのが更に悲しくさせます。
こうした水面下での交渉がいかに難しいか、は近年よく言われるところですが、先日も安田さんと同じ場所で拘束された、とされるスペイン人記者が「解放された」という成功例もあります。
…ぜひ政府には、ギリギリまで諦めずに、交渉を続けて頂きたいです。