夏野剛と語る、予防医療のゲノム・イノベーション
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注目のコメント
ゲノム解析技術は「ムーアの法則」を超えるスピードで、急速に技術進展しています。これを背景とした「ゲノム医療」を日々の診療で活用できる世界が、既に到来しています。
本記事を通じて、ゲノム医療の一端をご理解頂ければ幸いです。
【追記】
該当検査の受検を希望頂ける旨のコメントを多く頂戴し、ありがとうございます。「G-TACパートナー」の医療機関様で該当検査の受検が可能となっておりますので、もしご興味あれば以下サイトにアクセスしてみて頂ければ幸いです。
https://g-tac.me/?gp=newspics&utm_source=newspicks.com&utm_medium=referral&utm_campaign=newspicks_201602自分の専門はゲノム医療とは遠く離れていますが、将来的にはすべての診療科が患者さんの遺伝情報を意識する時代がくる気がします。ただ…
「病気や怪我は治すことができるが遺伝情報は治せない。知ってしまった遺伝情報は受け入れるしかない。」
臨床遺伝専門医の言葉です。受け入れて、プラスにもっていければいいでしょう。しかし現実はそうでない人もいます。自分が受け止めきれない遺伝子を子にも引き継がせてしまっている場合など…。知るということに対してきちんとした法整備が必要だと感じます。アメリカでは先月オバマ大統領が次の月面着陸計画として癌の撲滅をついに掲げました。息子さんを去年癌で亡くしたバイデン副大統領が総責任者に任命されました。
失明事故以来ヘルスケアに熱を上げるSAPのCEO(ちなみにアメリカ人)は今ゲノムによるPersonalized Medicineに大きな投資を始めています。彼のおじいさんが現NBAの殿堂入りプレイヤーだったことでスポーツにお熱くなった時以上の動きを感じます。
サッカーファンには有名のマッチ・インサイトと似た、メディカルリサーチ・インサイトなるものを開発し、世界中の医療機関と共同開発した成果を、全米で注目される米臨床腫瘍学会の学習する癌治療システム、CancerLinQの開発に注ぎました。マッチインサイトと同様のビッグデータ基盤(HANA)で作られています。そういえばマッチインサイトを独メルケル首相と英キャメロン首相が見る前にメルケルにプレゼンされたのが癌向けのプロダクトでした。
現在は数万人分、全米の癌と診断された患者のまだ3%のデータしか集まってなく、まずは100万人を目指し、多くの医療機関が参画を決めているところです。
また、医療と製薬の国ドイツでも、実はハイテク・サッカーで有名なホッフェンハイムのオーナー、ディトマー・ホップ(SAP創業者の1人)はゲノムベンチャーにホッフェンハイム以上に投資をしています。人の基本的なカラダはたんぱく質の組み合わせで決まりますが、その設計図が保存されているDNAからレシピ情報を読み取って生産する翻訳機能をデータ化して、それを製薬会社に販売するビジネスモデルです。すでにベーリンガーやサノフィなど大手が数百億円単位でこのライセンスを取得し、彼らが薬として量産するというバーチャルファクトリーです。
このプロジェクトには去年ビルゲイツも参画を決め、ちょうど去年の今頃ドイツにいた際はこのニュースがたくさん特集されていました。
私はこれを、コンピューターの動作の型をパッケージ化してPC企業にライセンスしたマイクロソフト、企業の動作の型をパッケージ化して各企業にライセンスするSAP、遺伝情報からたんぱく質合成の動作の型をパッケージ化して製薬企業にライセンスする新バイオ企業、と整理してます。