乳業の実態とバター不足の背景を探る
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注目のコメント
TPPに影響を受ける製品の中から、乳製品についての数字をまとめました。
バター不足という報道を目にすることが多くなりましたが、単純に輸入量を増やすというわけにはいきません。現状の需給バランスを考慮すると、計画生産の制度そのものの見直しも必要になりそうです。
なお、企業の利益率分析については、SPEEDAアナリストのKubokiさんにもご協力をいただきました。
【追記】
計算のご指摘ありがとうございました。
非常に初歩的なミスで申し訳ありません。
左側の列ですが、正しくは下記です。
合計乳代(H)=D+G 11月 170,000円
平均乳価(I)=H/A 11月 85円/kg
【追記2】20151228
画像を2点修正致しました。『生乳生産量は減少傾向』
→2014年度のバター国内生産量は6.1万トン。対して、バター国内消費量は7.4万トン(①参照)。国内消費量は毎年度7~8万トンで安定しており、需要>供給でバランスが崩れています。
『バターは生乳の後につくられる』
→②の川崎さんのコメント参照で、要約すると
「品質基準が厳しい分、飲用の単価が高くなる。飲用乳は生産調整するほど余っているが、飲用を加工に回せばバターは高くなるので、業者はバター不足と分かっていても加工しない」
とのこと。鮮度以外にも「単価の違い」が、生産順序に影響を与えていると考えられます。
『酪農家の集約が進行』
→減少も深刻ですが、高齢化や、高度成長期からバブル期にかけて造られた牛舎の老朽化も深刻だそう。(加えて去年は乳牛の感染症が流行していた)
『取引や価格の決定に特有の仕組み』
→記事で紹介されている10の「指定生乳生産者団体」以外にも、「県の酪農連合」、「地方の農協」も仲介して酪農家の生乳が乳牛会社(明治HDなど)に送られるため、手数料が2重3重に取られています。
来年度から入札制度を導入し、生乳の卸価格の一部を受給に反映させられるようになります。需給のバランスに見合った正しい値決めが求められます。
『輸入は政府の管理下』
→記事にある通り、現在の輸入規制は1993年のウルグアイ・ラウンド貿易交渉で決まったものです。ポイントは、当時は国産バターが有り余る時代だったということ。
現在も国内の酪農者保護のために規制が継続されていますが、時代錯誤の規制であり、規制や課税の緩和を進めるべきだと考えられています。
『バターは生乳需給の調整弁』
→少し古いですが、10/20付の日経朝刊によると「バターの低関税の輸入枠」は、国産では足りない年間1.3万トン(7.4-6.1=1.3)の4分の1にとどまるようで、値下げは限定的とされています。日本は保護主義貿易を依然続ける模様。
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①農林水産省『バターの安定供給のために』
http://www.maff.go.jp/j/chikusan/gyunyu/antei_kyokyu.html
②朝日新聞デジタル『バター、7千トンの不足見込み 農水省は緊急輸入の方針』
https://newspicks.com/news/981214記事からはそれるが、乳業需要は経済成長によって食文化が欧米化することによって、牛乳などの消費が増えると思う。中国の経済成長で、ニュージーランドからの輸入がかなり増えている。
https://www.alic.go.jp/koho/kikaku03_000826.html