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同時に感じたのは、辻内氏が言うように、消耗品である肩を消耗しきる自由もあるということ。球数制限やタイブレークといった、選手保護のための施策の必要性は強く感じる一方、突き抜けたい人達の足枷になってしまうとも感じる。労働時間の制限に辟易して商社を去ったという先輩のことをふと思い出しました。
重い言葉だと思います。
将来のことをあれこれ心配してもプロになれるとは限りませんし・・・。
「今を全力で生きていく」という姿勢は、高校球児ならぬ私たち全てにとって重要なアドバイスでありましょう。
とはいえ、将来設計も重要です。
先々のことを悩んだり心配するのと、将来のことを冷静に考えることとは違いますから。
更なる高みを想定している球児たちにとって、自分の体を大切にすることも重要なことでしょう。
当時、どのような質問を投げかけても、「はい」と「そうです」しか返してこなかった彼の性格が変わっていないんだなと感じます。考える力の乏しさは、あの時のままです。
確かに、彼には度重なる怪我がついて回ったと思いますが、一番の原因は、彼の内面にあるんじゃないでしょうか。それは彼本人だけに問題があるのではなく、野球に没頭することのできる大阪桐蔭という環境良さが、彼に考える力というものを生み出せなかった。投げ込んだり、走りこんだりしてきたけど、なぜ、投げるのか、なぜ、走るのかまで考えさせることはできなかった。(以前にコメントした、良いところとそうでないところです)恩師の西谷さんが不動産に就職が決まりかけていたところを、ストップさせたのも、分かる気がします。
でも、そこで自分の道ではなく、人が敷いたレールに進んでしまったところが、彼が今も変われない理由のような気もします。
とはいえ、「高校野球のあり方を考える」ヒントになるメッセージはくれたと思います。
例えば、体協や高野連が強制介入してガイドラインを設けたとしても、あまり効果が出ないと思う。連投禁止とか練習時間の制限とか外野は好き放題言えるが、学校側にその問題を解決するために環境を整備する補助金が下りるわけでもないし、仮に実施したとしても、見えないところやグレーゾーンで活動するところも出てくるだろう。
この連載を読んで考えたが、結局は現状に違和感を持った指導者が多様性を持つことで、内側から環境が変化していくことを期待するしかないかもしれない。
結局、この高校野球のテーマは
・真夏の開催時期、トーナメント形式による連戦スケジュールによる摩耗と健康面のリスクがある。
・上記によって、プロ、メジャーを目指す一流の素材にとっては、甲子園のシステムは弊害が大きい
・でも、そもそも9割9分の高校生にとっては、この3年間で野球選手としてのピークが終わる。その意味ではこの3年間で甲子園を目指すシステムは、自身の野球人生にとって、充実感と自己成長を感じる良いピリオドになる。
という上記のような、プロスポーツへのキャリアパスと、一般的な教育論が一緒くたになるので非常に混沌とするのだけれど、せめて、この連載を読んだ親御さんがこれから御子息を野球部に預ける場合は、せめて良い指導者に出会えるための手助けはしてほしいと思います。
アメリカンフットボールではハードワークして怪我するやつは馬鹿と呼ばれる。
自分がその馬鹿だっただけに、色々感慨深い。
また、こうして見るとプロで大成する選手は目的意識も故障への危機意識も相当高そう。自分を大切にする意欲が高い! その点、野球人生が終わってもいいから故障を押して投げたかったと高校時代に言っていた菊池雄星はナイーブだったように思う。一線級になるまで時間が掛かったのはメンタルの問題も大きいか?
「周りの期待が一番つらかったですね。」
➡この一言が核心を突いているように感じました。本人の心とは別に周りの期待が先行して、その期待に応えないといけないという焦りが肩の酷使に繋がってしまったのではないかなと想像しました。
「いまを生きてください」
➡彼にとっては高校野球が最高の舞台であったわけで、やりたいだけやれて悔いはないとのこと。でも連投や過度な投げ込み練習をセーブしていれば結果は違ったのかもしれないとも思えてしまいます。
彼自身の人生なので彼が納得できていればそれでいいとは思います。しかし、真面目で素直な球児が指導者や周りの期待に振り回され財産である身体を酷使し、結果的にプロでの活躍が可能から不可能に変わってしまっているとしたら…。それはやはり考えるべきことだと思います。
最後の写真に写る背番号「51」がとても印象的。
以前、羽生結弦選手が怪我の中、強行出場したことが議論にもなったが、こういったところに、基準となるコンセンサスがスポーツ界であればいいんだが…