クックパッドが仕掛ける、“プロ不要”のマーケティング革命
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クックパッドは、現在日本のデジタルビジネスモデルで、最も消費者の問題解決を提案し続けている企業だろう。消費者の問題解決こそがマーケティングの本質。マーケティングの革命ではなく、マーケティングの基本だ!
僕は、クックパッドを、モバイルの領域だけならず、全てのネットサービスがお手本にすべきエクセレントカンパニーだと思っている。事業設計、ポジショニング、マネタイズ、マーケティング、顧客リレーションシップ、B2B展開、等々。名だたる大手が続々と参入してきたレシピサービスおいて、まだ社員200名に満たないこの会社はそれら競合に付け入る隙すら与えず、今もなお完全な独走状態を築き上げている。
売上の半分は、会員数150万人を誇る有料会員ビジネス。無料サービス+広告モデルで初期はひたすら突き進むプレーヤーが多いなか、誰よりも先にモバイルファースト化を進め有料サービスモデルを進化させ続けながら、同時に広告ビジネスの拡大や企業タイアップなどの収益多角化も着々と進めてきた。レシピは、完全にユーザーのボランタリーな動機に基づくUser Generated Contentsであるにもかかわらず、レシピ登録数も驚異的なスピードで拡大しながら、独自のエコシステムを構築した事例など、世界的にも見ても例を見ない。カカクコムの元社長の穐田氏が二代目の社長に抜擢されてから、積極的な海外進出とM&Aを進め、直近のここ1年だけ見ても株価は2.5倍に。どこからどう見ても驚異的としか言いようがない。
そんなクックパッドが第三の収益の柱に育てようと積極投資している「買物情報事業」について、この記事では詳しく解説してくれている。僕自身もよく理解していなかったところも多く、とても勉強になった。端的に言えば、「特売情報とチラシの広告コンテンツ化」。情報ニーズとの関連度(relevancy)を最大現に上げた広告は、それだけでコンテンツになり得るというのは、検索連動型広告と同じ思想。主婦層が持つ、今日の晩ごはんや明日のお弁当のレシピが知ろうとする強いインテント(意図)に溢れているレシピ特化型バーティカルサービスであるからこそ、こうした地域の小売店の販促ニーズを組み上げ、それすらコンテンツの一部として仕立て上げることが可能となる。しかも、そこにもフリーミアムの収益モデルを入れ込み、小売店の契約獲得の裾野の拡大とマネタイズをうまく進めている。既に登録している小売店の半数が月5000円の有料サービスを利用しているということにも驚愕するほかない。
記事内では5000億円とされているチラシ市場は、別の統計では1兆円近い規模があるとも言われている巨大市場。このチラシの電子化の取り組みも10年以上前から数多くの取り組みがなされてきたが、いまだにこれといったキラーサービスがあるわけではない。国内のネット広告市場はようやく1兆円の大台を超えたばかりだが、そのすぐそばには同規模のフロンティアが眠っている。この200人たらずの会社からますます目が離せなくなりそうだ。