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「働き方改革」、本当の怖さを知っていますか?
成松 恭多
働き方改革の本質を「時短で楽になる」というのが間違いということは、私も以前から思っていた。要するに、プロ化して自分が労働市場でMark-to-Marketされるということ。
もう一つのポイントは、マネージャーの高度化。なぜなら、リモートワークで、「Influence Activities」(簡単にいってしまえば上司に気に入ってもらうための活動)に意味がなくなるので、部下をきちんと評価する能力が求められること。これは、更なるマネージメントコストの増加をもたらす。
働き方改革が本格化するためには、過度に労働者を保護している労働関連法制の改革が必要だろう。と同時に必要なのは、労働者の再訓練・教育の機会。これは、国全体の生産性の向上のために非常に重要だと思う。昨今、再教育に失業保険を充当する案が議論されているが、これはいい流れ。最もこうした教育が学歴や資格のような個人の「credential」として認められることも重要だろう。
2025年以降、日本が沈まないために
成松 恭多
時短や働き方改革に関しては、ポジティブな側面だけが、取り上げられがちだが、大変な面もあることを留意すべきであろう。大まかに2点指摘できるだろう。
第1は人事評価である。評価はいくつかの観点から下されるのが一般的だが、「努力」、すなわち一生懸命仕事に取り組んでいるかという点は評価の要素である。出来が悪くても長時間働いていれば、頑張っているという点が、評価のポイントに加わってくる。時短になれば、仕事の「過程」の部分は評価されにくくなるだろう。すなわち、働き方改革は実力主義がより強調され、実力のない者にとっては厳しい状況がもたらされる。
第2は第1の点に関連するが、評価に関して、管理職はよりエネルギーを割かなければならなくなる。特にアウトプットだけでなく、そのアウトプットを生み出した過程、そのアウトプットが本当に本人の貢献によるものかといったことや、チームワークといった目に見にくい部分をどのように評価すべきか、管理職の部下の管理能力が一層問われる事になる。部下とのコミュニケーションを密接にとる必要があるだろう。
そして第3は、教育である。日本の場合、スキルは圧倒的にOJTで習得する場合が多い。特に「仕事のやり方」に関しては、職場にいる先輩や同僚から学ぶことは多い。これがなくなると、自らの努力でスキルアップしなければならなくなる。
働き方改革は、実績主義が一層推進され、努力しない職員にとっては厳しい環境になる。もっとも経営サイドからマクロ的に見れば、社員の出来不出来がより鮮明になり、それを評価や昇進に反映させれば、全体の生産性は上がるだろう。
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