物価見通しの上振れとリスク大きくなれば金利早めに調整-日銀総裁
コメント
選択しているユーザー
注目のコメント
「上振れリスクが大きくなった場合、利上げのタイミングの前倒しを検討する」、「下振れリスクが高まった場合には、現在の緩和的な環境をより長く維持していく」、「必要があれば、これまで用いてきたさまざまな非伝統的な手段も含め、あらゆる手段をあらかじめ排除することなく、対応を考えていく」 (@@。
要は、状況に応じて何でもやりますということですね、たぶん。
長く続いた異次元の金融緩和と財政拡張で、日本経済の背後には、今の低金利政策を本格的に変えれば溜まりに溜まった歪が一気に表面化する、今の政策を続ければ歪が益々大きくなる、というジレンマが生まれています。“基調的インフレ率”という摩訶不思議なものはいざ知らず、顕在化しているインフレと急激な円安は、その歪が日銀のコントロール外のところで噴き出したものであるように感じます。
インフレに関しては上振れリスクの方が高そうに感じますが、インフレ退治に乗り出せば、一気に景気が冷えるリスクも孕んでいるのが今の日本の経済状況です。溜まった歪が大きいだけに、政策変更による景気の振れ幅は半端なものじゃないでしょう。これ以上の円安とインフレはなんとか止めたいけれど、景気の急減速が起きたらどうしよう、という日銀の悩みを感じないでもありません。さて、円安とインフレは、この先、どうなって行くものか・・・ (・・;世踏み(観測気球/リーク)。
日本だけ超低金利で居られず金利ある世界に。
〜それでもインフレ収まるのか(基本は雇用かアセットで調整入らないと厳しい様な)植田総裁は、4月のMPM直後の会見でも、今回の講演でも、為替相場の変動が「基調的」な物価に影響する場合には金融政策で対応すると言っており、その点では変化はなく、一貫した説明を行っています。
また、円安が実際に「基調的」な物価に影響しているか否かについては、4月のMPM直後の会見では、現時点の評価として否定的な見方を明示した一方、その後の国会答弁や今回の講演では、将来に向けたリスクがあるとの見方を強調しており、この点でも矛盾はありません。
その上で、コミュニケーションポリシーの観点からは、「基調的」の部分を無視する一部の報道や、円安の原因を全て金融緩和に帰する批判に対して、植田総裁が政策運営の真意を伝えるために説明振りを変えることには意味もあります。
しかし、政策運営の考え方自体を現時点で修正する必要性には疑問が残ります。仮に短期的な円安対策として利上げを急いだ場合、資産価格全般の調整や経済全体の資金調達コストの上昇といった事態に直面し、逆方向からの批判に直面する可能性は小さくありません。数年前に、政府のコロナ対策を巡って世論が二転三転したこととよく似た話です。
金融政策にとってより本質的な問題としては、植田総裁が提起したように、為替相場の同じ変動が基調的物価に及ぼす影響が従来よりも大きくなっているのかどうかが、むしろ気になります。
企業や家計の「ノルム」が変わったことは事実としても、円安による輸入物価の上昇が「基調的」な物価に大きく影響するには総需要が相応に強いことが必要であるだけに、私自身は少なくとも現時点でそこまで強気にはなれません。