デンマークは生産性が高い、と言われる裏側
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1.モノマネをしない。
2.無駄な仕事をしない。
という二つはその通りだとして、ではなぜそれを貫くことができるのでしょうか?
最大の要因はデンマークが人口600万人にとどかない小さな国にも関わらず、EUという4億5000万人市場を持っていることでしょう。
この記事では生産性の定義がなされていませんが、OECDの労働生産性の定義だとすれば、分子はGDPになります。なのでGDPの総額ではなく、一人当たりGDPが労働生産性とほぼ同じです。(正確には一人当たりGDPは分母が全人口、労働生産性は分母が労働人口ですが)
一人当たりGDPの額で言うと、デンマークは日本の2倍であり、優れていることになりますが、人口1400万人の東京と比べればほぼ同等の一人当たりGDPに過ぎません。
つまりEUという市場の中でのデンマークというプレイヤーは、日本全体という市場の中での東京というプレイヤーと類似、という構図です。
この筆者の観点で言えば、東京の人は、モノマネが多く、無駄なこともたくさんやっているかもしれませんが、でも大きな市場の中で小さな自治体として非常に高い一人当たりGDPを実現できています。因みにEU全体の一人当たりGDPはデンマークの約半分で、日本全体とほぼ同等の構図です。
筆者が挙げる二つの要素を否定するものではありませんが、上記のようなマクロ構造があってこそ、その二つが結果に結びついているのだと私は考えます。
注目のコメント
逆に日本人はなぜ頑張っても成果が出ないのかというと、民間部門が過剰貯蓄の一方で政府の財政規律が強すぎるため需要が弱く、生産性の分子である付加価値が増えにくいからです。
ここに書かれていることが全てではないでしょうし、「陽」の部分に焦点が当たっていますが、「陰」の部分もあると思います。
が、参考になる点は大いにありました。特に「やらないことを決める」という点は、とかく現状維持バイアスが働く日本にとって、官民ともに留意すべきことと感じました。一昔前のことですが、デンマークにデザイン研修に行って、現地のデザイナーやビジネスマンの方々と少々お話ししました。
印象に残った点としては、失業したとしても国のサポートが手厚いという安心感もあるので、若者も起業にチャレンジしやすい点。あと高い税負担はありますが、消費者はせっせと貯蓄に励む必要性がない。
銀行などから融資を受ける際にも戦略は非常に重視される。だから必然的に「オリジナル性にこだわる」ようです。
「自分のビジネスは何をウリにしているか」が、シンプルで明確でないといけない。
同様にスウェーデンやフィンランドに行った時も同じことを話される方が多かったです。ある意味、生存競争が激しいゆえに、いつも「自分のオリジナル性」を考えているようでした。零細メーカーも単なる下請けという概念はありません。
これは普通の会社員も一緒で「自分は何のプロか」がはっきりしていないと採用も難しいんじゃないでしょうか。
マイナス面として印象に残ったのは、若手デザイナーの方が「デンマークのメーカーは昔の巨匠デザインばかり作るので、若手デザイナーが育たない」と嘆いてらっしゃった。
この辺はどこの国も一緒なんだなーと。