Stable Diffusionの新興AIユニコーン、創業CEOが辞任「非中央集権型AIを追求」
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AIという技術は本来的に論文という形で公開され、オープンソースとして世界中で開発が重ねられることによって発展してきた技術です。言わば今のAIは歴史の英知が成し遂げたものと言っても過言ではありません。
それが近年、こと生成AIをめぐって、OpenAIを皮切りにITジャイアントがをはじめとした優位的な技術を持った特定企業がクローズ化を推進し、利益を追及するようになっているのが実態です。
「中央集権型」とは、こうした利益重視のAI技術開発の現状を指しているはずで、著作権や人権などの侵害・被害が多くおきながらも、技術の詳細が閉ざされる結果、それを制止する技術を開発することも難しいまま、サービス促進が図られているのが現状でもあります。
今回のEmad Mostaque氏が辞任を決めたことは、そうした悪しき流れに抗おうとする勇気ある決断だと個人的には感じています。大きな動きですね。生成AI開発競争の激動の中で、先見性とカリスマ性でStabilityを引っ張ってきた人物。
元々様々な研究チームの集合体としてStable Diffusionを始め、LLMなど様々なモデルを開発してきましたが、エマッド氏がその功績を独り占めしているという批判が報道されていました。何があったのか本当のところはわかりませんが、そのような状況をよく思わなかった人もいるのかもしれないと勘繰っています。
Stabilityがオープンソース戦略を軸にモデルの公開をしてきた功績は非常に大きいです。OpenAIなどの先端モデルを作る企業がそのノウハウを非公開とするなか、これほど重要な技術を一握りの企業が牛耳ることに対する強いアンチテーゼを示してきました。ただ、オープンソースのビジネス化は苦難がつきものですし、マネタイズ可能なサービスを開発するにはむしろ強いリーダーシップで開発をを進めることが求められます。
一方で画像生成モデルのカスタマイズを楽しむコミュニティは日本でも(特に日本で)盛り上がっていて、まだまだこれからの展開が楽しみなところですし、非中央集権型の組織の延長としてさらに多くのコミュニティが活発化していくことへの期待もあります。オープンソースは研究開発期に叡智を集めて成功するパターンと、高価な商用プロダクトの対抗馬として一定のシェアを集めるパターンがあります。
前者はWebサーバのApache、後者は基本ソフトのLinuxやデータベースのMySQLが代表です。
生成AIは研究開発期ですから、色々なオープンソースが登場しています。ただし、資金力がモノを言う世界になり、純粋なオープンソースでは勝て辛くなっています。
StabilityAIは資金を集めてしまったが故にオープンソースの維持が厳しくなってきたように見えます。
もう少し生成AIが成熟したら、オープンソースをforkして、イチから出直すプロジェクトが立ち上がる予感がします。