2023年の経常収支 20兆6295億円の黒字
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2022年は貿易収支、経常収支の赤字に危機感を声高に叫ぶマスコミや専門家の方が大勢いらっしゃいましたが、その要因はエネルギー、資源高によるものという説明で十分ということが今更ながら2023年の実績を見て明白になりました。円安という要因はシンプルに考えると輸入価格が上がるので需要減退をもたらすと同時に、輸出促進につながり貿易収支改善に資するという結果となって現れました。日本経済はまだまだ底力があり、過度に悲観的になる必要はないということになりそうです。
注目のコメント
この後、色々なメディアで発信させて頂きますが、そして、もうこれまで執拗に繰り返してきた点ですが「統計上の黒字」と「実務上のCF」は切り分けた上で評価する目が今の日本経済には求められています。
統計上は20兆を超える経常黒字でも私の試算ではCFベースで2兆円弱の赤字です。第一次所得収支黒字の円転率(私の試算)は大体3割強です。すなわち35兆円弱の第一次所得収支黒字のうち、円買い需要は恐らく10兆円前後、貿サ収支が10兆円弱の赤字なわけですから、20兆円の円買いどころか、若干の円売りが発生している可能性があると私は推測します。
事実、経常黒字があっても22年や23年は円安が進んだわけですから、統計上の黒字を信じるべきかどうかはほぼ決着がついているのでは?と言う気もしますがそこまでメディア報道に求めるのは酷かもしれません(日経新聞は断続的に戻らぬ円をテーマに取材して頂いており、その旨の記事も増えてはいます)。
経常黒字でも円安が続くのは「実は赤字」だから
キャッシュフロー経常収支で円の実需を考える
https://toyokeizai.net/articles/-/69523723年の経常収支を貿易収支とサービス収支と所得収支に分けてみると、所得収支だけで30兆円以上の黒字を稼ぐ一方で、貿易収支は6兆円以上、サービス収支は3兆円以上の赤字となっています。
そして、経常収支のうちGDPの外需に含まれるのは貿易収支とサービス収支であることから、日本は経常黒字を稼いでも、直接的には貿易サービス収支の赤字でGDPの押し下げ要因となっていることがわかります。
対して、昨年GDPで日本を抜いたとされるドイツは経常黒字のうち多くを貿易収支で稼いでおり、経常黒字がGDPの押し上げに効いていることがわかります。
こうした点も、GDPで日本がドイツに抜かれる一因と言えるでしょう。結局、貿易黒字が潤沢なら、サービス赤字も補って余りあるほどの通貨高圧力になるということに尽きるのでしょう。
需要刺激派は、ある時は対外純資産が、ある時は経常黒字が潤沢だから構造的な円安にはならないと主張していましたが、やはり違ったか、というところ。