米、強まる対イラン強硬論=兵士死亡で政権に圧力―大統領選、争点浮上も
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イラン国内を直接攻撃することは、テヘランにとって“体制の存続にかかわる問題”を提起することになり、エスカレーションは避けられなくなる可能性があります。
このため慎重なバイデン政権は、イラクやシリアでイランが支援する武装組織の重要な標的や幹部を狙う可能性が高いと思います。
ただし、すでに前回の攻撃において米軍は、イラクの首都バグダッドで親イラン派民兵組織の幹部を無人機で爆殺していることから、今回はそれをはるかに上回る攻撃をしなければならないでしょう。
中途半端な攻撃では、共和党から弱腰だとして非難を浴びることになりそうです。大統領選挙がバイデン氏の政策決定にどれだけ影響を与えるのか、を見極めるうえでも、このイランへの対応は注目です。バイデン政権にとって対イラン政策は最優先のひとつでしたが、結果的には「失敗」してきており、大統領選挙で争点になりえます。
記事では、イラン国内を標的とする可能性は低く、米国家安全保障会議のカービー戦略広報調整官は記者会見で「われわれはイランとの戦争を望んでいない」と強調したとされており、メッセージは抑制が効いています。
バイデン政権は、強硬なトランプ政権が離脱したイランとの核合意を現実的に戻していこうとの考え方から進められてきました。
https://www.spf.org/jpus-insights/spf-america-monitor/spf-america-monitor-document-detail_101.html
しかし、共和党関係者は「イラン政権が理解しているのは力だけ。インフラと市民の代償を払うまで、米軍への攻撃は続くだろう」と述べ、バイデン政権の対イラン政策は控えめ過ぎであり、イラン国内への直接的攻撃が必要だと批判しています。
https://www.politico.com/news/2024/01/29/biden-jordan-middle-east-campaign-00138458
バイデン政権は、例えば2021年にフーシ派を外国テロ組織の指定から解除し(その後、2024年に再指定した)、2023年には制裁対象であったイラン資産60億ドル(約8800億円)の凍結を解除するなど、融和的な行動をとってきました。
しかし一部専門家は、このような融和的な姿勢が、イランによるテロ組織ハマスへの支援、フーシ派への支援などを許したと批判しています。制裁緩和により、イランは財政的に豊かになり、ハマスやフーシ派などテロ組織への支援を強化し、結果、ハマスによる昨年の対イスラエル大規模テロや紅海でのフーシ派による船舶への攻撃を惹起したとする見方です。
かつてトランプ政権はシリアによる化学兵器使用の疑いが強くなった時に攻撃を行いレッドラインを示したり、イラクでの米大使館・米軍への攻撃の報復としてイランのイスラム革命防衛隊ソレイマニ司令官を殺害し、強い行動に出た経緯があります。
米大統領選挙は不法移民や経済が争点ですが、中東情勢が悪化する中、トランプ氏はイラン政策も争点化することが予想されます。