アップル、Watchから血中酸素濃度の測定機能除外も-高裁判断次第
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アップルウオッチではこれまでに、血中酸素濃度の測定以外にも脈拍測定(不整脈検知)や簡易心電図などの機能が利用でき、本来であれば病院で測定していたような数値を誰でも気軽に、持続的に測定できるようになりました。
血中酸素濃度は肺や心臓の病気で低下するため、医療機関では重要な指標の1つです。一方で脈拍などと比較すると測定エラーの頻度が多く、酸素濃度は十分であるものの極端に低い数値が出ることがしばしばあります。
心不全や肺の疾患がある患者や在宅酸素を使用している患者、睡眠時無呼吸の検査、高地トレーニングを行うアスリートなど一部の人は持続的な酸素濃度測定の恩恵を受けるかもしれませんが、多くの方にとっては不必要な機能であり、むしろ測定エラーによる過剰な不安などデメリットの方が多いかもしれません。医学的な観点からも重要性は乏しい機能と言えます。血液中の酸素飽和度(SpO2)を身体への負担なく測定するデバイスはパルスオキシメトリと呼ばれています。パルスオキシメトリが登場するまでは、血液中の酸素の値を測定するには血液を採取するしかなかったので、その登場は画期的でした。今では、その侵襲の少なさと簡便さから広く使用されています。
このデバイスの基本的な原理は、血液中の酸素がくっついたヘモグロビン(血の赤をつくる色素)と酸素がくっついていないヘモグロビンが異なる光で吸収するという事実に基づいています。
パルスオキシメトリは、2つの異なる波長のレーザー光を使用して、皮膚を通して血液を照らします。酸素のくっついたヘモグロビンとそうでないヘモグロビンでは吸収する光が異なるため、2つの光がどの程度吸収されるかを測定し、そのデータを使用して血液中の酸素のくっついたヘモグロビンの割合を計算することができます。こうして95%といったような数値が算出されるわけです。
しかし、あくまで光を用いた間接的な測定であるため、血液を扱うのとは異なり、誤作動を起こすことがあります。
例えば、寒さや血圧の低い状況などで血液の流れが低下すると、正確な測定が難しくなります。また、身体の動きや震えがセンサーの読み取りに影響を与える可能性もあります。さらに、指で読み取る場合には爪のマニキュアがあるとレーザー光の透過を妨げ、測定精度を低下させます。あるいは、皮膚の色素沈着がある場合にも、光の吸収に影響を及ぼすことがあります。
こうした限界を知りながら医療機関では使われているわけですが、実感として、誤った値を出す頻度は非常に高いです。一方、多くの特別な事情のない一般の方では、本来異常である可能性は極めて低いと考えられます。すなわち、多くの方の日常生活では、そもそもこのデバイスがあったとしても、このデバイスからの恩恵よりも、誤作動による不安や誤った対応、誤った医療機関受診につながる可能性の方が高いと予想されます。今後Apple Watchには体温、血圧、血糖値測定機能の搭載が検討されていると言われており血糖値測定は非侵襲の特許が山ほど取得されている。特許取得はこのよう事態を避けるためだと考える。実際には測定自体が難しいのだろう、なかなか搭載される話は聞こえてこない。
血中酸素濃度は特にコロナ禍で話題になった機能だが、マシモからすればうまくいけば、パテントを守り切れた事例とはなる。Appleはどのレベルまで特許侵害を発売前に認識していたのか、というのは気になるところだ。
また、売上というよりは利益にインパクトを与えるのが今回。Apple WatchはiPhoneに比べると原価率が低いと言われており今後ヘルスケア機能が増えるに従って単価も上がり、台数も増える目算だったわけだが、それが挫かれた格好だ。
ユーザー目線からすると、せっかく期待して購入した製品の機能が後から使えなくなるとすれば、これは北米では集団訴訟とかにもなりかねない気はする。