【独占】国産SaaSベンチャー、上場せず「ファンド傘下」選ぶ理由
コメント
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株主が創業者とわれわれのようなファンドという2者だけの場合は、物事をはるかにシンプルにします。意思決定のスピードが大きく上がるわけです。
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進む方向感が誤っていなければこのスピード感はかなりの強みになると思う。
注目のコメント
マザーズ・グロース市場においては、IPO後の壁とも言われますが、よほど強い成長モメンタムがなければ、IPO後に再び赤字を掘るような投資は許容されず、低成長に落ち着いてしまうジレンマが発生してきました。
特に2019~2021年前半頃の新興市場・SaaSバブル期においては、PSR(売上マルチプル)20倍というような市場平均がつく中で、その後一気に市場が悪化し、利益重視の評価がなされるようになったことで、大幅に株価を落とし、足踏みをする上場SaaS企業も見受けられます。
NewsPicksを運営するユーザベースも主に海外メディア事業の失敗によるものですが、株価が下がり、カーライルグループによって100%買収がなされたのがちょうど1年前です。
IPO前後とフェーズこそ違うものの、時価総額1,000億円を超えるような状態までPEファンドの力を借りながら未上場に潜って経営・成長を続けたいという状況は共通していますし、特にレイターステージのSaaSスタートアップは近年この志向が高まっているように感じます。
結果として、今年、2023年には大きくVC投資を受けたSaaSスタートアップによるIPOは一件も発生をしませんでした。
PEからの投資を受けるのは必ずしもポジティブな面だけではないと思いますが、日本の新興市場が抱えるネガティブな構造に対し、大口の資金の出し手となる存在が多くいることはエコシステムとして大事だと思います。ここ数年、プライベートエクイティ(PE)ファンドがスタートアップに出資する例は少しずつ増えていました。しかし、その多くはマイノリティ投資でした。そんな中、PEファンドがスタートアップにマジョリティ投資、つまり過半出資をするという案件が、ここ日本でも飛び出しました。これまでの前例はないとみられています。
出資を受けた人事管理SaaSスタートアップのHRBrainと、資金を投じたPEファンドである北欧スウェーデンのEQTの両者に話を聞きました。案件の発表後に当事者たちがインタビューに出てくるのは、これが初めてです。IPOやM&Aが主流だったスタートアップのイグジットの世界に、一石を投じることになるのでしょうか。資金用途を見ると上場目論見書にはだいたいM&Aなんて書いてありますが、実際には殆ど行われていない。その意味でもそもそも上場ってなんのため?とかより自分たちのゴールの実現にプラスなオプションを選ぶということでしょう。