【愕然】ハーバードを襲う「反ユダヤ主義問題」が根深い
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米国におけるユダヤ人問題は歴史が浅く、かつ巨大です。
ヨーロッパ諸国は、それこそ2000年に渡るユダヤ人迫害の歴史があり、それこそ議論するだけで社会が血を流すような苦しみに苛まれるので、議論も避けています。
特にドイツとオーストリアですが、他の国も、ユダヤ人迫害(虐殺)に無縁な国はありません。
米国で、こんなに安易なユダヤ人問題の議論をしてしまえるのは、歴史が浅いからです。
ヨーロッパから見ると、恐ろしい結果(たとえば、国家の二分)になるに決まっていることを、あまりにも安易にやっているように見えるでしょう。
今の米国でいうところの、「反ユダヤ主義」「ユダヤ人虐殺の擁護」というのは、この記事でいうハーバード大学の「30を超える学生グループがハマスによる攻撃の責任はイスラエルにあると主張した」という程度のことです。
この程度の主張なら、日本ならありふれているでしょう。
日本では、ユダヤ人問題についての歴史が薄く浅く、非常に他人事です。ユダヤ人問題について日本で血が流れる争いが起きたこともありません。
米国で今起きているユダヤ人問題の背景は、もちろん、1つは、共和党(特にトランプ派)と民主党に二分されるような社会の分断です。
ただし、民主党でも、リーバーマン議員のようなユダヤ人は、イスラエル政府を強く支持しています。
もう1つの大きな背景として、アラブ人およびムスリムの増加、特に大学での増加があります。
「ハマスによる攻撃の責任はイスラエルにあると主張」しているのは、まずアラブ人、もしくは他のムスリム諸国出身の学生と考えていいでしょう。彼らだけでそういう集会ができるほど、米国の大学ではアラブ人やムスリムが増えました。
米国は、あらゆる国からの移民を受け入れる度量の広さを示してきましたが、米国に入ってきた多様な人々が、多様さゆえに和解不能な衝突を起こすようになったのを、コントロールできなくなってきています。こういう議論があからさまにできてしまうのはアメリカという人工国家ならではなんだろうなあと感じます。
この議論は連日海外メディアを賑わせていますが、ハーバードビジネススクールの教授のトークを配信しているポッドキャストafter hoursでのやり取りが興味深かったです。
https://harvardafterhours.com/episode/magnificent-markets-and-conflict-on-campus/>ユダヤ人虐殺を呼びかけることは大学の方針に反するかと問われ、「反する」と明言せずに法的回答にとどめた結果、辞職または解任要求に直面することになった。(記事引用)
肯定したわけでは全くありません。
結果論を言えば、「虐殺」という主張は言論の自由の範囲を超えるのだという線引きをすれば良かったということになりそうですし、アメリカ合衆国で政治的・資金的に強大な力をもつユダヤ勢力(およびその利害関係者)が学長の曖昧な態度に対して強烈に反発しているとも見えます。
しかし、自由主義・平等主義・共同体主義という3つの本能的正義には常にトレードオフが存在するため決して合意できないこと、国どうしの正義も決して一致しないこと、そして「大学」というとりわけ政治から距離を置かなければならない機関であることという複雑な状況で、学長が最適解を見つけることは容易ではないと思われます。