パナマ運河が干ばつで水不足、通航船舶数を制限-海上輸送に影響
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コンテナ船では,アジア・北米東岸航路でスエズ運河経由への変更がみられ始めています.
リードタイムが長くなるので,荷主企業には在庫管理などの問題が出てくるかもしれません.運河の航行が長期に渡り影響を受ければ、日本にも影響が出ると思います。
エネルギーという観点では、米国からパナマ運河を経由して液化天然ガス(LNG)を輸入しているので、ルート変更や遅延によりコスト高になってしまいます。その他の物資にも影響が出ればインフレをもたらす可能性もあります。
過去にコロナによりパナマ運河の運航に遅延が出ていたことが理由で米国からの輸入が遅延したこともありました。東回りのルートについても過去にはスエズ運河でも座礁事故が起きたこともあります。
因みにLNGの世界の生産量は年産約4億2600万トンでありますが日本は7700万トンを輸入している最大のLNG輸入国なので真っ先にLNGの供給不足の影響を受けます。ロシアからの輸入も地政学リスクに直接面していますが、米国からの輸入と合わせると15%近くになり、供給源の分散化の重要性が改めて認識させられます。
現時点では、日本などの大半の国は、再エネへのトランジションエネルギーとしてガスに依存せざるを得ない状況です。一方で、人類の活動の結果としての温暖化により干魃が増加すれば、エネルギーや食料の物流という人々の生活を脅かす事になるのは何とも皮肉です。
(https://spaceshipearth.jp/drought/#干ばつが増加している原因は地球温暖化による異常気象の多発)パナマ運河は3回ほど見に行ってます。「なんで海を結ぶ運河なのに水不足?」と思われる方もおられるでしょう。パナマ運河は単に太平洋と大西洋の間の地峡を掘って間をつなげているのではなく、水の階段(ゲートで仕切られた巨大なプールに注水して船を高いところへ押し上げていく)を使って人工湖ガトゥン湖に船を送る構造になってます。
船はそのガトゥン湖を航行し、そしてまた水の階段を下りて海に戻ります。よってそのガトゥン湖の水位が水不足で下がると運河の運用に支障をきたすわけです。
パナマ運河庁のリリース( https://pancanal.com/como-administra-el-canal-de-panama-la-escasez-del-agua/ )によると、雨季であるはずの10月の降雨量は1950年以来最低とのこと。これから乾季に入るので2月には1日あたりの航行回数を18回に段階的に減らすとのことです。なお、予約した船はスケジュール通り運航できており、予約していない船の滞船の状況は次のURLでリアルタイムでみられます。https://apps.pancanal.com/t/TI/views/DashboardColadeEspera/DashboardCola-EN?%3AisGuestRedirectFromVizportal&%3Aembed=y&%3Ahighdpi
ちなみに、もともとのパナマ運河(ミラフローレス)はめちゃ狭いです(34メートル)が2016年からもう一つのルート(アグアクララ 幅約55メートル)が運用開始して従来より幅の広い船、例えばLNG船も通れるようになりました。
エネルギー価格への影響を見る場合、こうしたエネルギー関連の船がどの程度利用しているかが参考になるかと思います。22年度の場合、この新ルートを通ったネオパナマックス船のうちLPG船は24%(872隻)、LNG船は9.8%(356隻)となっています。在パナマ日本国大使館の資料が見易く。参考になるかと思いますのでリンク貼っておきます( https://www.panama.emb-japan.go.jp/files/000360415.pdf )。