【最速解説】なぜ「ChatGPTの総帥」は、追放されたのか
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OpenAIはオープンソース思想を起点として作られた組織であり、その出自にもとづく取締役会のガバナンスが今回の「クーデター」を可能にしたのかと、個人的に納得した。元研究者としては「世界をより良く変えていきたい」という純粋なオープンソースカルチャー系エンジニアのこのような意識がOpenAIの開発の中心部に根付いているということに希望を感じるとともに、現経営者としては、既に資本の理論のレールに乗っかって巨大化しているOpenAIがサム・アルトマンというビジョナリーであり戦略家でありトップセールスマンを排除して、暴走させずに巡航速度に落ち着けることが可能なのか心配になる。アンチビジネスな良心と研究者マインドを貫きたいという気持ちに共感を覚えつつも、経営は理想論では動かない。彼ら彼女らが心配する「AIの暴走への懸念」のためには、まず自律的な経営を守り安定させることが前提となる。その青写真はあるのか。本能寺の変の後の天下取りの乱戦状態のなかで、新経営陣が主導権を失って埋没していくのではないかと心配する。
注目のコメント
ビジネス側と研究開発側の対立はありがちです。しかし、ビジネス側が追い出されるというのは珍しい話ですね。しかも、AIの安全性が理由とは驚きです。
GPT-4の真の潜在能力は外からは見極めづらいですが、恐怖を覚えるほど強力なAIを生み出してしまったと感じているのでしょうか。
マイクロソフトが取締役会に出席していない資本参加だったというのも意外でした。非営利組織の本体を守るという、ある種の健全性が働いた結果かもしれません。大規模言語モデル(LLM)の開発におけるOpenAIは、いわば「走れメロス」のメロス状態にある存在で、物量面ではるかに強いGoogleやMicrosoftを相手にどんどん加速して走り続けなければ早晩追いつかれ、追い抜かれ埋没するという恐怖感を常に抱えているはずです。
LLM自体は、GPT1が出来た2018年に登場したトランスフォーマーと呼ばれる構造を利用していて、その技術自体は論文やオープンソースで公開されているので、新規参入もしやすく、ここから先は物量戦になると考えるのが普通です。
アルトマン氏の焦りはそこにあり、もともと非営利組織だったOpenAIのサイエンティストと対立したとしても、不思議ではないと思っていましたが、そこはきちんとコミニュケーションをとって乗り越えている、それがOpenAIの凄さだと、私自身は思い込んでいました。
今回の解任劇を見ると、現実はそうなっていなかったということのようです。
OpenAI以前の生成AI開発は、GoogleなどのIT大手の中で、既存サービスを強化する技術の作り込みという形で進んでいたものを、OpenAIがある意味突然公開(Open化)することで、注目と資金と人を集めて(暫定的な)独走体制を作ったということだと理解すれば、①OpenAIか、②アルトマン氏が新しく始める何かか、③一時的に出遅れたIT大手の巻き返しか、の混沌が生まれるということなのかもしれません。
いずれにせよ、これからの生成AI開発は、物量がものをいう競争になるはずなので、日本もそこで出遅れることの無いよう、資源投下の道筋をつけていく必要があるということです。
(そのために、社会全体で生成AIを活用したDXによって生まれる付加価値を見える化し、物量戦に必要な巨額の資金を捻出する国民的合意を取り付ける必要があるということです)「アルトマン氏が収益を求めるあまりにAIの開発において安全性が重視されていないのではないか、といった声が上がっていた」
「アルトマンが求めるスピード重視のビジネス路線が、研究者らを中心とする非営利部門と摩擦を引き起こした」
が、1番の原因なんですかね?
最近も、イーロン・マスクが「AIを開発する企業を監督する第三者的な機関を設置すべき」みたいなことをロンドンで開催されたAIサミットで主張していましたが、AIの安全性や倫理は、今後重要なテーマであることは間違いないですね。