【3分解説】3大メガバンクの「復活」は本物か
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最近、採用界隈でもメガバンクの人気が復活してきているという話を聞きます。
なお、グループではなく各銀行が対象となりますがOpenWork上のスコアは
三菱UFJ:3.47(上位3%)
三井住友:3.77(上位1%)
みずほ:3.25(上位7%)
となっています。全体的に高いのですが、三井住友がスコアが特に高く、20代成長環境が他2行に比べると高いのが特徴です。主要先進国はどこもかしこも低金利だった近年、銀行にとってはしんどい事業環境にあったわけで、金利が少しでも上がれば業績は良くなります。実際、日本だけでなく欧米の主要銀行も好決算が明らかに。
日本のメガバンクの決算も軒並み良かったわけですが、それでもPBRは相変わらず1倍を割ったまま。PBRはPERとROEに分解できるので、それぞれに分けて考えると、なぜ低いのか?が見えてきます。
PERはひとえに事業の成長性で、特にメガバンクの場合は事業展開している地域の経済成長率=GDP成長率に依存します。ROEは自己資本利益率なので少ない資産でどれだけ利益を上げられるかが問われます。
前者のPERをいかに上げるかという観点で言えば、三菱UFJはタイのアユタヤ銀行の子会社化、スーパーアプリのGrabへの出資、みずほは米M&AブティックGreenhillの買収、三井住友はインド、フィリピン、インドネシアの現地銀行と提携・買収といった具合に正しいことをしています。
後者のROEに関しては、収益を生まない資産の売却や「世界最高のデジタルバンク」と称されるシンガポールのDBSのように徹底的なデジタル化、DX推進をできるかどうか、にかかっています。
国内メガバンクはいずれも正しい打ち手を繰り出しているので、じわじわと効いてきていますが、いかんせん図体がどデカいので時間がかかります。
そもそも、好決算が続く日米欧の主要銀行ですが、PBR1倍割れ問題に直面しているのは欧米もまったく一緒。1倍を超えているのは唯一JPモルガンチェースだけ。欧州の雄UBSでさえ遂に1倍を割っています。
世界を見渡してPBRが1倍を超えている銀行はビジネスそのものを大胆にトランスフォームしたシンガポールのDBSや成長著しいインドの主要銀行といった顔ぶれ。
2000年代初頭にビル・ゲイツ氏が「銀行機能は必要だが、銀行は不要かもしれない」と発言したことが話題となりましたが、まさに、その時代が到来したことを物語っているかもしれません。フィンテックが勃興し、投資家は既存の銀行にはもはや期待していない。それが今の株式市場からの評価とも言えます。大槻さんが指摘する3つのポイント(①手数料収入、②DX、③株主還元強化)のうち、記事では③がこれからは最も確実なのは③だとしているが、足元で期待以上に進んでいるのは②のDXだと私は考えています。
DXの推進によって、オンラインを通じた顧客体験は格段によくなってきている。これは、メガバンクに勤務する職員の地頭の良さと基礎的能力の高さが背景にあり、他の組織にありがちなデジタルデバイドがメガバンクではほぼ存在しない(結果的にそれがDXの足を引っ張らない)というのが大きい。結果、さまざまなトランザクションコストも格段に下がってきているはずです。
自治体DXに取り組む行政が学ぶべきところも少なくないはずです。