金融庁、投信価格の訂正に統一基準 二重計算解消に布石
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資産運用業の事業モデルは単純化すると損益分岐残高までいかに早く運用受託残高を積み上げるかというものであり、その意味で負担コストを低減し、損益分岐残高を引き下げる効果のある登録プロセスの簡素化やコンプラ・バックオフィス業務の外部委託に関する規制緩和、本記事で取り上げられている投信基準価額の「二重計算」の解消等は重要な取組み施策だと考えます。
一方、これら施策は確かに損益分岐残高の引き下げには効果的であるため、新興・海外資産運用会社の新規参入の促進には一定の効果はあるものの、これら施策だけで損益分岐残高までの運用受託残高の積上げ確度が高まるわけではなく、十分ではないとも思われます。
個人向け資産運用商品の商流に新興運用会社が参入するのが困難であったり、年金基金等の機関投資家が新興運用会社への運用委託に消極的であったりするなか、コストの引き下げが見込めたとしてもビジネス獲得が見込めなければ、新規参入の活性化には必ずしもつながらないと思われます。
日本の商社がコスト負担が大きくても南米やアフリカ等の危険地域に駐在員を積極的に派遣しているのは、そこに大きな収益獲得が期待できる事業が存在するからであり、事業の見込みがあることが何よりも重要な必要条件だと考えます。
その意味で足もと資産運用立国構想関係のタスクフォース等で議論されているEMP(Emerging Manager Programme)をどこまで本気で実施するかが重要だと考えます。これまでの東京都等の国際金融都市構想等でもEMPは検討されてきましたが、公的年金等を動かすことができない東京都等では限界があったところ、今回は日本政府が厚生労働省等を巻き込んでどの程度本気でこのEMPを充実させるかが注目されます。