【賛否両論】天気を操る「気候工学」が凄い
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注目のコメント
「気候工学入門―新たな温暖化対策ジオエンジニアリング」 https://amzn.to/2Dxlgry の著者の杉山先生ですね.
あれをしない,これを辞めるというネガティブなだけではなく,アクティブに関与していく,気候工学(ジオエンジニアリング),気象制御にもっと注目すべきでしょう.
https://newspicks.com/news/6051760?ref=user_2112738
内閣府「ムーンショット型研究開発制度」
https://newspicks.com/news/4511749?ref=user_2112738
にも挙がっていますが,もっと金をかける,投資すべきです.今年は歴史的な猛暑であり、もう外にでるのも嫌だというくらいの真夏日が、連日つづきました。こうした状況下で、もはや脱炭素を10年単位でやるのでは、過酷な異常気象に手が打てないと考える人たちが増えています。そのなかで、いまとても話題になっているのがジオエンジニアリング(気候工学)です。
具体的には、エアゾルというガスを飛行機からまくことで、太陽からの光を反射して、地表の温度をさげてあげるというSRM(太陽放射改変)が、もっともメジャーな方法です。これは、火山が噴火したときに、地球規模で温度が下がることから、すでに実現可能で、コスパも良いといわれています。
一方で、人間が人工的に気候に介入するには、大きな反対意見もあります。ここらへんは、メタバースを予言したことで有名な、ニール・スティーブンソンというSF作家が作品(Termination Shock)にしていますので、一読をおすすめします。温暖化対策という意味での気候工学には主に二つの手法があり、一つは二酸化炭素を人工的に減らそうというもの、もう一つは太陽光を反射(散乱)させて地球へ到達するエネルギー量を減らそうというものがあります。二酸化炭素は、最近濃度が上がってきているとはいえ、大気中のわずか0.04%を占めるのみですので、これの回収は割と骨の折れる作業となります。太陽光の反射であれば、成層圏へのエアロゾル(ちり)の投入というのが効果が大きく、またコストが安価であるとされているほか、ほかには宇宙に大きな傘を設置するアイデアや、海からの海塩粒子を巻き上げて雲を増やし、雲によって太陽光を反射させようというものもあります。
要するに温暖化を人間の生活習慣病に例えると、生活習慣の改善を再三呼び掛けているのが国連のIPCCになるわけですが、気候工学はとりあえず血圧を下げる薬を飲むようなイメージになります。生活習慣の改善なしに薬だけを飲んでいても、それは単なるごまかしや先延ばしに過ぎないことは明らかなのですが、同様の考え方が温暖化関連の学者の中にあり、今までタブー視されていたという背景があります。
しかし現状の温暖化、および要となるはずの「生活習慣の改善(二酸化炭素排出量削減)」が国際協調が取れずうまくいっていない点を鑑みると、すでに来世紀までの気温上昇を2℃未満に抑えるのは絶望的で、およそ4℃程度は上昇してしまうのではないかと言われています。すると、とりあえず当面の温暖化にブレーキを掛ける手法として「投薬(気候工学)」が検討されて然るべきです。
温暖化を人為的にある程度抑えつつ、カーボンニュートラルを果たすまでの時間稼ぎをするというのが、現状の人類における落としどころなのではないかとも思われます。
しかしながら心配なのは「投薬」による「副作用」です。治験もなしに始めるというわけではなく、コンピューターによる十分なシミュレーションが要求されるものと思われ、ではどの程度の証拠が揃ったら実際に「投薬」するのかという部分や、費用面の負担をどうするのかということが今後はIPCCでも議論されるようになるでしょう。