【読書】いま「世代間ギャップ」がどんどん縮まっている
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今回の10分読書は、「年齢」という括りが消えつつあることについてです。
博報堂生活総合研究所で1992年から行われている、「生活定点」調査というものがあります。
全体としては変化は少ないものの、年代別でみると、世代間の意識や価値観が変化していることがわかりました。
本文中にもグラフを掲載していますが、他にも生活定点には非常に興味深いデータがたくさんあるので、ぜひご覧いただければと思います。
▼生活定点1992-2022|博報堂生活総研
https://seikatsusoken.jp/teiten/「もしこれまで「とりあえず年代別に分析しよう」と生活者分析や顧客ターゲット設定を行っていたとしたら、その行動を見直してみてもいいだろう。」そもそも顧客セグメンテーションは「ニーズ」「購買行動」の違いによって分けなくてはいけないのですが、それが簡単にできないので年齢や性別、あるいは資産額を「大体指標」として分けているだけのことです(特に市場規模の算出など)。年齢が使えなくなるとすると、結構ややこしくなりそう。
弊所の書籍を取り上げて頂きありがとうございました。
記事の一番最後に問題提起されている年齢に代わる「新しいモノサシ」が何か?はこの本の執筆と並行する形で私たちのチームで分析を進めていました。
簡単に概要を記しますと、
①年齢以外のデモグラ、社会属性ではなさそう
消齢化分析と同じデータで検証すると、性別や未既婚、年収、学歴などによる差は拡がっていませんでした。(あえて言うなら、性別はモノサシとしてまだ一定の影響力を保っています。)
②価値観でみると2つのモノサシの仮説が見つかった
一つ目は、暮らしの質の高め方が「理想」に向かうか「実用」に向かうか。
二つ目は、興味や関心の深め方が「交流」に向かうか「没頭」に向かうか。
どちらの価値観が強いかによって、生活者の意識や行動が大きく分かれるという仮説です。
前者を車を例に考えると、「理想」に向かう人はその車がどれだけ未知なる場所に行動範囲を広げてくれるかを重視し、「実用」に向かう人はどれだけ今の生活に役立つか、豊かにするかを重視する、ということ。
後者をビールを例に考えると、「交流」に向かう人はコミュニケーションを円滑にするツールとしてのビールの側面を、「没頭」に向かう人は好きなことを楽しむおともとしての側面を重視する、ということです。
③価値観のモノサシは、ターゲット選択と考えるより、訴求バリエーションと考えた方が良い
価値観のモノサシは年齢と違って見た目や会員情報などでの判別は難しい面があります。
そのため、例えば交流派と没頭派、どちらをターゲットとして選択するか?と考えてもあまり意味がありません。むしろブランドや商品の訴求について、これまでは各年代に合わせて訴求のバリエーションを作っていたところを、これからは交流派と没頭派という価値観のタイプそれぞれに向けたバリエーションを考えてみる、というように活用する方が有益だと考えられます。
また、上記の2つのモノサシは年代による大きな偏りはありませんでした。
そのため、既に効果が出ている訴求で「これは交流派に響いていそうだな」といったものがあったら、今ターゲットにしている年代だけでなく、他の年代にも響く訴求なのではないか?と考えてみるのも良さそうです。
詳しくはこちらにまとめています。
https://seikatsusoken.jp/shoreikalab/