24年世界成長率2.9% IMF見通し、下方修正
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昨今の経済成長予測において重要なポイントになるのが物価と金利ですが、先日から生じているイスラエルの件はその戦局がどこまで拡大するかによって、世界経済の成長予測にも大きな影響を与える可能性があります。原油価格が上昇したことが報じられますが、ウクライナ侵攻の際のような高騰になるかどうかも、戦局次第で、戦局が現状止まりであれば一時的な上昇に終わるでしょう。
ロシアの成長は民間主体ではなく、政府(軍需)中心の再生産(響きはマル経ですが、再生産様式という概念は今のロシアを表すに的確なものだと考えます)です。今年の2パーセント、来年の1パーセントが持つ意味合いは、健全な経済と比べてはあまり意味がないように考えます。
むしろ私は、ドイツに対する味方が楽観的過ぎないか、と考えています。固定資産(再エネ施設)は積み増しが続くわけですが、そこから生み出される付加価値が増えるわけではありません(既存施設の置き換えに過ぎない)。輸出も回復が見込み難いし、雇用所得情勢の悪化や住宅価格下落で個人消費にも重石がのし掛かる。一年間のリセッションで取り戻せるようには感じません。
英国は、そもそも当局のGDP推計がいい加減ですから、冗談半分で見ています。IMFは、全体のトーンとして、ソフトランディングシナリオと整合的な経済見通しというやや明るめの表現はしつつも、原油・天然ガス高の影響、金融引き締め政策の効き具合などの点で、国・地域ごとのバラつきが大きいと注意喚起しています。主な国の23年、24年の実質経済成長率見通し(%)を紹介しますと、以下のとおりです。
23年 24年
米国 2.1 1.5
ドイツ -0.5 0.9
日本 2.0 1.0
英国 0.5 0.6
中国 5.0 4.2
インド 6.3 6.3
ロシア 2.2 1.1
経済制裁を受けているロシアに日本が負けていることと、不動産不況の終わりが見えない中国が4%しか成長しないことの2点が、私にはショックでした。