8月企業物価3.2%上昇 電気代下落、伸び率は縮小
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なお、電気料金については、輸入火力燃料価格の変動が遅れて料金に反映され、今回延長が決まった激変緩和措置が切れる2024年1月の電気料金はまさに足元である2023年8~10月の価格が基準となります。
そして、足元の原油価格は産油国の減産に前向きな姿勢などにより水準を上げており、電気料金に最も影響力が大きい液化天然ガス(LNG)価格についても、原油の入着価格がLNG取引の長期契約の値決め指標にもなっていたりします。
こうしたことからすれば、激変緩和措置が切れる年明け以降はさらに電気料金に押上げ圧力がかかり、急速に電気料金の負担が増加することになりかねないでしょう。企業が”仕入れる”モノの値段である企業物価は昨年12月の10.6%から8月の3.2%まで連続的かつ急速に下がり続けていますけど、賃上げを反映しやすい企業向けサービス価格はじわじわ上がっています。果たして8月はどう出るか・・・
企業向け価格の低下がインフレ率を抑える要因であることは紛れもない事実ですけれど、消費者物価の上昇が企業物価の上昇に大きく遅れた我が国で、消費者物価が簡単に下がるとは思えません。日銀が重視するコアコア物価指数(生鮮食品とエネルギーを除く総合)は7月に4.3%上がっています。これが日銀の思惑通り本年度2.5%、来年度1.9%まで落ちて実質賃金が恒常的に上昇する状況になるものか。瞬間風速はともかくとして、異次元緩和と財政拡張が続いている状況下、油断はできないように感じます。川上の企業物価のインフレ率低下が川下の消費者物価に効いてくることが期待されます。
輸入物価指数が契約通貨建てで前年比15.9%も下落していることは、海外への所得流出を減らすので、喜ばしいですね。ただ、ここへきての原油高が9月以降の輸入物価や企業物価、消費者物価を押し上げることが予想され、残念です。