【実録】社員が止められなかった「疑惑のがん検査」
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注目のコメント
[追記]
今回の特集記事の誤った内容に関して、弊社コーポレートサイトで回答しています。
https://hbio.jp/news/2023/09/20230919/
是非、ご高覧いただき、公正な判断に役立ててくださいますよう切にお願い申し上げます。
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HIROTSUバイオサイエンス 執行役員の水島と申します。
記事中の全ての誤った内容に関して、連載終了後、弊社コーポレートサイトにてオフィシャルな回答をさせていただきます。
今年6月のWHO財団との記者発表以来、NewsPicks副編集長の須田桃子さん(元毎日新聞、週刊文春ライター)の取材に対して真摯に対応して参りました。
このような内容の記事が公開されたことは、イチNewsPicksファンとしては非常に残念です。
取材の中で記事中で使われているデータや証言の誤りについて口頭/書面にて丁寧に説明させて頂きました。
しかしながら、「真実なんて関係ない。私たちの描きたいストーリーに合うように解釈するだけだ」と言わんばかりの対応でした。
今回の記事に関しては、弊社のみならずアメリカをはじめとする世界のアカデミアで再現性の論文が発表されております。
取材の中で編集部は「世界でそのような再現性の論文が出ていることは知っています」と明確に回答しているにも関わらずこのような記事を書いてます。
また、ホームページで使用しているシャーレの画像に関しても、論文の中で掲載されているものであり、いかに論文を読まずに記事を書いているかがわかります。
NewsPicks編集部からは、弊社ステークスホルダー各社に対して、『回答がない場合は社名と共に公表する』との高圧的な質問状が送られました。それによって、本来そのようなことにリソースを割くべきではない方々が多くの時間を費やしてくださいました。
我々としては「がんが怖くない世の中」を実現するべく、科学的根拠に基づき、社内外の信頼でき仲間と、誠実にやるべきことをひたむきに続けてまいります。本記事ではブラインド検査を創業者が嫌がっていると書いていた。
新規薬剤の認可でも、薬剤効果を確認する二重盲検試験(ダブルブラインドテスト)では、よほど毒性の強い薬剤でない限り、投与される人間も投与する人間も、本物の薬と偽薬が判別出来ない状態で投与される臨床試験が組まれることが多い。
投与する人間の態度で、投与される側も本物か偽薬か分かってしまうため、効果の差が出るからです(プラセボ効果)。
実際偽薬に勝てない新規薬剤はごまんとあります。それほどプラセボ効果は強力です。
それと同じ構図で、がん患者の尿かどうかが事前に分かってしまうと、操作者の印象、解釈が偏ってしまうのは当然でしょう。
むしろ創業者はそれを分かっていて、うまく利用してきたかのように感じますね。
ちなみに当方の運営しているYouTubeがん防災チャンネルでは、第1回記事の動画解説「線虫検査の本当のがん診断率が暴露された!【専門医解説】医事問題シリーズ」を公開しています。
ここではなぜ会社公表の感度特異度が実地診療と乖離しているか、腫瘍マーカーでの類似事例を挙げて解説しました。このような問題のある(益以上に実害をもたらす可能性の高い)医療行為が実際に行われ続けるまでには、記事で取り上げられている「社員が止められなかった」企業構造のみならず、何重にも間違いを防ぐことのできなかった問題点が指摘できるはずです。
今回取り上げられている線虫がん検査も米国のセラノスの件もそうですが、これは間違いなく盛んなヘルステック業界において氷山の一角であり、同様の問題は複数の企業に散在しているはずです。このような衝撃的なスクープを目にすると、個人や一企業の体制の責任に話が帰結しがちですが、それでは同じことがまた別の場所で繰り返されるだけです。
社会としてどのように再発を防ぐのかを明らかにする上で、問題の上流で何が起こっているのかを一つずつ明らかにしていく作業は、社会の未来を守る上で重要です(本記事もその一端を担うものになると思います)。そうした際に、ついつい個人への批判目線になりがちですが、このような記事を読むにあたっては、「ひと」ではなく「こと」を対象に批判的に解釈する視点が大切です。そのような視点を忘れないように記事を読んでいただくことで、より生産的な議論につながるのではないでしょうか。