G20開幕、首脳宣言採択で合意 アフリカ連合参加、中ロは不在
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共同声明(コミュニケ)は、拘束力はありませんが、会議参加国が同意した内容、ということであり、「おまえの国はあの時あの共同声明の内容に賛成したじゃないか」という言質にはなります。
共同声明をまとめるのは議長国の力量の見せどころであり、共同声明をとりまとめられなければ、議長国の力量がおよばなかった、ということにもなります。
ロシア・ウクライナ戦争について、この共同声明では、ロシアの「ロ」の字も出てきません。武力や核兵器を使って他国の領土を奪うことはだめである、国連憲章にもそう書いてある、という一般論が述べられているだけです。
ロシアを非難する文言がひとことでもあれば、共同声明を出すことはできなかったでしょう。「国家の領土保全や主権、政治的独立に反する武力による威嚇や行使は控えなければならない」と、明らかにロシアのウクライナ侵略を非難し、中国の台湾への武力侵攻を牽制した文言を入れた首脳宣言を採択まで持ち込んだ議長国インドの巧みさと影響力の強さは驚くべきものだと思います。やはりインドとは密接な関係を維持しなくてはなりません。故安倍元総理の外交ビジョンは卓越していたと改めて感じさせます。
インドは首脳宣言を全会一致(コンセンサス)で発出できた。昨年のインドネシアにおけるG20バリ首脳宣言に入っていた「ロシアのウクライナ侵略」を削除した。侵略(aggression)は国連の緊急特別総会決議で焦点になってきた文言。ロシアのプーチン大統領は去年も欠席だったが、むしろバリで、この文言が入って発出できた方が驚きだった。
もう一つのポイントはアフリカ連合(AU)の正式参加。G20参加国でアフリカは南アフリカだけだったので、アフリカ連合を正式参加させ代表性を高めたのはグローバルサウスを主導したいインドとして誇れる成果だろう。ロシアの「侵略」を非難した国連決議の棄権国の半分がアフリカだった。ロシアが狙っていたG20におけるG7諸国と拡大BRICSとの分断も回避できた。
結果的に、G20はモディ大統領の晴れ舞台となったのではないか。来年の総選挙に向けて弾みも付くことだろう。インドと領土紛争を抱える中国の習近平国家主席が参加しなかったのは、こうした状況を見込んでいたからかもしれない。