止まらぬドル高、原油高騰がさらなる追い風に-ユーロと円が犠牲
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通貨高になる3つの大きな要因があります。通貨高がインフレ抑制要因になる、経済が好調で金利が高い、シェール革命のおかげで世界最大のエネルギー輸出国になった、です。また、通例であればこれだけ通貨高になると輸出企業が反対の声を上げます。ところが米国企業はITを中心に、ネトフリ、ディズニーランド、アマゾンプライムなど平然と値上げしてカバーします。また、通貨高になると産業の空洞化が心配されますが、今の米国はリショアリングと言われて工場の国内回帰が進んでいます。政府は巨額の税背優遇措置を儲け、企業も経済安全保障を重視しているからです。この面でも通貨高を止める要因がありません。これだけ揃えばもう構造的なドル高だと思います。
米国はシェールガス革命によりガスの輸出国になり、日本も輸入しています。それに加えて、石油ガスはほとんどドルで取引されるので、資源高の際にはより他国は多くのドルを買う必要がありドル高に拍車がかかります。
一方で資源高やそれに伴うドル高は日本を含む各国の輸入価格の高騰により世界的にインフレをもたらし、景気には悪影響を与える可能性があります。
(余談になりますが、一部の日本の電力、ガス会社は海外に石油やガス田の権益を持っているので部分的に資源高の恩恵を受けることで輸入高の悪影響はやや緩和されます)
また、資源価格は金利などよりも変動幅が大きく、最近も暴落しました(2020年に石油価格はマイナス価格を付けました)。変動幅をリスクと考えるならば、通貨の価値が資源価格に依存しすぎることは必ずしも良いことではなく、資源価格や通貨高云々よりも経済のコアとなるその他の産業が大事になってきます。
わかりやすい例だとベネズエラやコンゴなどの資源が豊富な国々を見ていると、資源価格に振り回されない為にはその他の産業が如何に重要なのかがわかりますし、その対極にあるのがノルウェーなどです。
今回の様なドル高は米国にとっても中長期的には「リスクの高いドル高」だと思います。