「マンションを返せ!」 中国不動産危機 未完成の現場は…
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大問題であることは直感的にすぐわかります。より問題なのは、市場規模、金を払ったのに引き渡しされない住宅の総金額が分からないことです。一戸当たり2000万円で1千万戸なら200兆円でGDP比7.4%です。まあ、国家の土台が揺らぐほどではありません。しかし、そうではない可能性もあるものの、それが分からないのです。ちなみに、普通モノを買う場合、お金を渡すと同時にモノを受け取ります。これを同時履行と言います。しかしマンションのように時期がずれる場合、悪徳業者が先に受け取るお金を持って逃げないよう、購入者の権利を保全する制度が先進国にはあります。日本にもあります。しかし、中国にはこの保全制度がないため、こういう問題が起こります。
こういうことが起これば起こるほど、海を隔てた日本の不動産価値が際立ってきます。国際分散投資を狙う年金基金やソブリンファンドなどの持つアジアにベットする不動産投資の資金がますます日本に流れ込んでくるということです。つまり、この騒動は日本にとってプラスに働く事象だと考えるべきだということです。日本国内だけ見て「東京のマンションは高い」などと言っている評論家はこういう資本のダイナミズムを理解すべきです。
また、中国政府がエバーグランデ(恒大)の処理に手間取り、それが何らかの経路で欧米の経済にマイナスの影響を与えることになれば、中国の国際社会におけるレピュテーションは大きく傷つきます。コロナウィルスの拡大過程と同じく「また中国か」という国際世論が形成されるでしょう。これも、日本にとって悪くない話です。その環境変化をどう活かすか、日本政府の腕の見せどころだと、私は思います。中国政府が最も懸念するのは、不動産企業がデフォルト、破産するなどして、国内で人民たちが暴れる事態でしょう。政府はその辺りの政治リスクを念頭に、エバーグランデ、カントリーガーデン含めて指導、コントロールしていくと思います。