「トップのクビが飛びかねない」 企業向け保険カルテル疑惑...不祥事に揺れる損保業界
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この問題は、ビッグモーターの件と構造的には似ています。企業向け保険の場合は保険会社側の不当行為で、ビッグモーターの件は修理業者側の不正が発覚したという違いがあるだけです。
どういうことかというと、ビッグモーターの件は修理業者側の見積もり内容によって保険金の額が変動し、修理業者によってあまりにもその幅が大きくなっているという構造的な問題があります。これに対して企業向け保険の問題は、保険会社の見積もり内容によって保険料が変動し、保険会社によって幅が大きくなる構造があるということです。
保険金のほうは、高い見積もりを出したほうが保険金を多く受け取れる。保険料のほうは、一見すると安い見積もりを出したほうが契約してもらいやすくなると考えがちですが、共同保険であって複数の保険会社と契約することが前提なのですから、そこが少し複雑です。代理店側からすれば高い見積もりのほうが代理店手数料を多く受け取れますし、保険会社側は高い見積もりのほうが保険料収入は増えます。
つまり、企業向け保険の問題をビッグモーターの件に置き換えて「複数の修理業者」という視点で見れば、ビッグモーターだけが高い見積もりで多くの修理代を受け取っているのなら、他の修理業者がビッグモーターの見積もりを参考にすることができれば、他の修理業者だって過大な修理代を受け取ることができることになります。企業向け保険の問題はこれを保険料の見積もりに置きかえただけの構造で、特定の保険会社(例えば共同保険の幹事社)が高い見積もりを出しているのなら、他の保険会社が幹事社の見積もりを参考にすることができれば、他の保険会社だって過大な保険料を受け取れるということです。
ビッグモーターの件は、ビッグモーターが他の修理業者と談合しているわけではないので、不正はビッグモーター単独のもの。これに対して企業向け保険のほうは複数の保険会社の談合となっている可能性があり、たとえ入札時の保険料の見積もり内容自体には不正がなかったとしても、談合という行為が不当として問題視されるわけです。しかしどちらも、本来は同一の対象物であれば一定で変わらないはずの保険料や保険金の額を、見積もりの違いによって恣意的に動かせてしまう構造になっているのが発端です。保険契約者間の公平性という観点から見直しの余地があると思います。だいたい、保険会社は儲けすぎてきましたよね。個別の自動車保険の支払いでたかだか数万円の庶民への支払いを渋ることの積み重ねで、莫大な利益蓄積を得ているのは、いけ好かないです。
当事者として実体験をして、そう感じました。『入札』があるようなところではどこでも起きそうな話。これを防ぐ手立てがあるなら、まずは行政がその見本を見せなくちゃね。
行政が行う入札で、非常によくある話なのだから。
カルテルを行った民間企業を注意できる立場でもないと思うんですよね、行政だって防げたことが無いのだから。