ウォール街、日銀ショックの世界への波紋見極め-深刻な影響も
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記事に書かれたような、日本の投資家がマネーを引き上げるリスクは非常に低いと思われます。まず、日本の投資家が海外に投資をする場合、重要なのは、為替のヘッジを付けるかどうかです。為替ヘッジ付きの場合、短期金利差が世界中のどの国や地域との間でも広がった結果、ヘッジコストが当該国の債券利回りを超えてしまう逆ザヤの状態になっていました。つまり、元々為替ヘッジ付きで海外に投資をしていた資金がそれほど多いとは考えられません。次に、為替ヘッジなしで海外に投資する資金は、性格上、ハイリスク・ハイリターンのカテゴリーです。そうした性質の資金が、日本の長期金利が0.5%から多少上がった程度で受ける影響は軽微と考えられます。もっとも、緩和の最後の砦である日銀が動いたことで、投資家の間で心理的な影響が広がるかも知れませんが、これは日本の投資家というより、世界中の投資家にあてはまるものです。
15年くらい前の金融危機前の円安の際に「キャリートレード」という言葉があった。米国の方が金利が高いので日本円で借りて、ドルで運用して、その高金利を享受するというもの。
端的には、その逆のことが起こり、それをキッカケに色々な変化が起こる可能性についての記事。
なんでそれが起こるのか?
日銀が金融政策を修正した。なので、日本の金利が上がる。金利が上がり、一方で米国の金利が変わらなかったり、インフレが落ち着いて金利が下がれば、金利差は縮まる。金利だけを魅力とするのであれば、円の魅力度が相対的に増すので、ドル→円にお金が移る。
その原資は、これまで相対的に金利が高かった米国債。米国債を売る→米国最安、そして米ドルを売る→米ドル安・円高。今の通貨水準はかなり円安・ドル高なので、為替という観点でもこのポジションをすることは利益確定につながる。
実際にそうなるのか?
分からない。金融危機後に、各国が経済政策について金融政策(中銀の金利や資産買い入れ)頼みになり、大緩和の時代になった。そこになってから初めてインフレが起こり、利上げが起こり、色々新しい均衡を模索している。
分からない世界は、期待値のバラツキが起こる。だからオーバーシュートもアンダーシュートも起きやすい。SVBの破綻もその一つ。今までと前提が変わり、長期で運用していた資金の利鞘が圧縮され、また急な資金引き出しに対応できない状態になっていた。
日米の均衡が相対的に縮小したのは、アベノミクスの初期くらいに、米国の緩和策が縮小しながら、日本がより緩和的になったタイミング。その時にも大きく市場が変わったが、今回はどうなるか。
あと、金利差だけで為替水準は決まらない。そして米国はインフレ低下ではなく経済自体が悪化すれば、利下げはもちろん、緩和的な政策を米国は取るだろう。金融危機直後など、日本も緩和的な政策を取ったが、米国・ドルが緩和的な政策を取ったら、おしくらまんじゅうみたいなもので米国の緩和圧力が世界の他国・他通貨に対して全部上回ったのが過去の歴史。
【徹底解説】予測不能!強いアメリカ経済の秘密
https://newspicks.com/news/8694799
【図解】金融危機?リセッション?「銀行ショック」の次に起こること
https://newspicks.com/news/8290753いままで国外の投資対象に向かっていたジャパンマネーが急速に国内回帰するのではないかという一部の説が書かれているが、日銀は今回のレポートで「金融緩和の持続性可能性を高める」とはっきり打ち出していて、日米の金利差が一気に縮まる訳ではありません。しかも何がしか起こるであろう資金の国内回帰は、海外投資家の日本流入を同時にともなうはずで、マクロで見れば日本にとって好ましい動きが始まる可能性が高いということです。
「日銀ショック」という見出しに日本人は過剰反応する必要はありません。
・日銀「当面の金融政策運営について」(20230728)
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2023/k230728a.pdf
・記事原文
https://www.bnnbloomberg.ca/wall-street-is-gaming-out-global-spillover-threat-from-boj-shock-1.1953428