「中国恒大集団」の負債総額47兆円、債務超過に転落か
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会社が潰れるのはキャッシュが枯渇したときであり、債務超過でもキャッシュがあれば直ぐに倒産ということはないですが、決算書を見るとかなり厳しそうな印象。
そもそも情報が2021年6月の中間報告以降は止まっており、今回の開示で2021年12月期と2022年12月期が開示されていますが、2021年12月期から既に債務超過になっています。
気になる数字を2020年から2022年の順番で並べてみます。単位は百万元です。
流動資産 1,904,934 1,893,821 1,665,189
うち現金・現金同等物 158,752 5,435 4,334
うち開発中物件 1,257,908 1,263,410 1,136,084
純資産 350,431 ▲473,054 ▲599,074
流動負債 1,950,728 2,521,136 2,352,923
うち借入金 335,477 602,653 587,123
元々キャッシュが少ないですが、2021年12月期より僅かになり更には借入金も増えています。
他にも合約負債という科目があり、これも2021年12月期に増大しています。
つまり、2021年12月期より資金をかき集めているものの、残っているキャッシュが僅かであるように見えます。恒大集団が清算しないのは、債務が大きく複雑すぎて、債権者たちとの話し合いがつかないから、というのものあります。
すでに香港の裁判所に、債権者から会社解散の申し立てが出てはいますが、破産手続きをして、会社の財産を債権者たちに配当すれば丸く収まるというものでもありません。
恒大の財産の多くは融資の担保になっており、中国の地方自治体などが抵当権を持っています。
破産手続きをしたところで、外国の債権者たちに行き渡る配当は無いでしょう。
恒大に今潰れてもらっては困る、という債権者は、中国内外に多いです。
再建計画といっても、再建できると思っている人は少ないでしょう。
結局、債権をどれだけ回収できるか、のにらみ合いです。
とりあえず、恒大が香港の裁判所に申し立てられている解散申し立てを退けるには、7月末までに同社の債務再編案に対して十分な数の債権者の合意を得なければならないはずです。ロイターの英文記事の方が詳しい。
会計監査法人は、「根拠となる十分な適切な監査証拠を入手できていない」ため、意見不表明であり、そもそも不動産等の評価含めて適切な決算か不明。
2023年9月21日、株式取引の停止期間が18ヶ月間停止となると香港上場廃止のリスクあり。と言っても、上場廃止となれば財務諸表の開示をしなくて済む。これが最後の決算開示になるか(^_^;)
・2021年と2022年の純損失がそれぞれ4760億元(663億6000万ドル)と1059億元(147億6000万ドル)だったと報告したが、正常に運営されていた2020年の純利益は81億元だった。
・2022年の売上高は2020年比55%減の2301億元となった。
・2022年の負債総額は2兆4000億元で、2020年から23%増加したが、資産総額は1兆8000億元で20%減少した。
・香港上場の恒大の株式は、差し押さえられた預金134億元などに関する捜査が行われるまで、昨年3月21日から取引が停止されている。
・株式の取引は引き続き停止される。同社の株式が18カ月間停止されたままとなった場合、同社は上場廃止となるリスクがある。
・同社の監査人であるプリズム香港上海リミテッドは報告書の中で、根拠となる十分な適切な監査証拠を入手できていないため、恒大の財務諸表について意見を表明しないと述べた。
⚫︎アニュアルレポート
https://doc.irasia.com/listco/hk/evergrande/annual/2022/res.pdf
https://doc.irasia.com/listco/hk/evergrande/annual/2021/res.pdf
⚫︎ロイター
https://www.reuters.com/markets/asia/evergrandes-overdue-results-show-steep-losses-market-eyes-liquidity-update-2023-07-17/