【真相】カワンゴ、数学界を悩ませる「IUT理論」に懸賞金
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IUT理論を理解するためには、技術的なハードルが相当高いという。その1つが「遠アーベル幾何学」という分野に精通している必要があることです。
IUT理論に疑義を呈したペーター・ショルツェ氏ですら、実は遠アーベル幾何学の専門家ではなかったそうです。
ではこの分野の専門家はどう考えているのか。加藤文元・東工大名誉教授によると、「遠アーベル幾何学のエクスパートの中で、進んでIUT理論に齟齬があると言う人は1人もいない」という。
いずれにしても、IUT理論には高い参入障壁があるのは間違いない。そこで賞金100万ドルという金銭的インセンティブを設けたというわけです。
100万ドルは、アメリカのクレイ数学研究所が設けた「ミレニアム問題」の懸賞金と同じ額で、ここをベンチマークにしているようです。
ミレニアム問題は、7つのうちの1つ「ポアンカレ予想」が2002年〜03年、実際に証明されました。IUT理論にも、解決に向かう可能性があるのではないでしょうか。
また、こうした篤志家の活動は、低迷が続く日本の研究力回復に向けた、1つの希望になりうると思いました。編集を担当しました。
加藤文元さんの解説で、IUT理論の置かれている状況がよくわかりました。数学界のスーパースター、ショルツェさんが批判したことから論文の正しさを疑問視する向きがありますが、加藤さんもおっしゃるように、誰が言ったかよりも批判や議論の中身、さらに批判者が元の論文をどれだけ深く理解しているかこそが重要なのだと思います。
IUT理論は、サイエンス連載「ディープな科学」の記念すべき初回で取り上げたテーマでもあります。難解な内容をどう噛み砕くか、四苦八苦しながら原稿を書いたのを思い出します(あれからもう3年と思うと感慨深い…)。
今日の記事に紐付けされているので、最近NewsPicksを読み始めた方には、ぜひそちらの記事もお読み頂けたら嬉しいです。数学者も人間ですし、数学会も社会的コミュニティだと思います。経済的インセンティブを通じて専門家同士の対話を図り、理論の検証を行い、学術の発展を図る良い取り組みだと思います。
難解な理論を理解できるのは本当に一握りの専門家だけでしょうが、理論のインパクトの可能性を信じて、議論や検証を外から促進することは、専門家でなくてもできるのですね。
賞を創設した川上さんが仰った言葉、「日本発の大理論が世界で受け入れられていない状況で、望月先生が単独で戦っている。これは日本の社会としても応援すべきなのではないかというのが、最初のモチベーションです。」との言葉に、その心意気と工夫に脱帽ですね。