AIによる「自動化」の背後に隠れて生み出された、大量の人間を必要とする仕事について──『ゴースト・ワーク』
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正確には「AIアノテーション」と呼ばれるクラウドソーシングです。最近はゴーストワークと呼ぶのですか。Amazon メカニカル・タークが有名です。機械仕掛けのトルコ人という表現も酷いですが、末端のアノテータが途上国で低賃金で働いているという噂はやはり本当だったのですね。
高度なAI開発には、単にビッグデータを集めれば良い訳ではありません。高品質なデータが必要です。このため高スキルなアノテータが最終チェックするため、AIアノテーションサービスに発注すると案外高単価だったりします。差額は莫大でしょう。「良い面と悪い面」
どんなものにも光と影があります。
クラウドソーシングがなければAIは生まれませんでした。画像認識のコンテストで使われたImageNetというデータセットは膨大な数の画像があるため、アルバイトを雇って作業するのが困難でした。そこでデータセットを作ったFei-Fei Li氏らが目をつけたのが当時始まったばかりのサービスであるAMTでした。AIがここまで成功した背景にはニューラルネットワークの理論はもちろんのこと、
・GPUによる莫大な計算資源
・インターネット上に流通する莫大な数のデータ
・それに正解をつける世界中のクラウドワーカー
という構図がありました。
蛇足ですが、この世界で知らぬものはいないMITのAntonio Torralba氏は講演のたびに「世界で最も多くのアノテーション作業を行ったのはスペインにいる私の母」と豪語して笑いを誘います。キャリア論で良くお見かけする海老原嗣生さんが2018年に出版された"「AIで仕事がなくなる」論のウソ"にも似たようなことが指摘されていましたね。(AIによる自動化では対応できない"すきま"を人間が担当する、"すきま労働"という表現だったと思います)