中国、ガリウムなど半導体材料の輸出規制 米の圧力に対抗、8月から
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この記事で取り上げられているガリウム、ゲルマニウムなどは現代の半導体を支える主要材料です。
特にガリウムは重要であり、最近ではパワー半導体界隈で使われている窒化ガリウム、酸化ガリウムなどで目にする機会が増えてきました。
酸化ガリウムはまだ研究開発段階であり市場に出回る数は多くないのですが、窒化ガリウムはすでに多くが市場に出回っており、私たちの身の回りにも深く入り込んでいます。
(余談ですが酸化ガリウムの研究開発では日本が世界で高い存在感を示しています)
例えば最近では小型で大出力なUSB充電器が安く買えるようになってきましたが、この技術進化も窒化ガリウムパワー半導体に支えられています。
また、窒化ガリウムは青色発光ダイオードの材料としても有名であり、Blu-ray再生機には必ず使われている材料となります。
我々の身近なところに深く入り込んでいるガリウムですが、世界の産出量の8割近くを中国に依存しています。
半導体のサプライチェーンは、原料をウェハメーカーが購入してウェハを作り、そのウェハをデバイスメーカーが購入して半導体を作るという構造になっています。
幸い中国のウェハメーカーの存在感は大きくなく、むしろ日本や米国のメーカーの存在感の方が大きい状況にあります。
しかし原料の大半を中国が握っている現状は、半導体市場に与える影響が非常に大きくなることは想像に難くありません。
残念ながら窒化ガリウムの有力な代替材料は存在していないので、早急にこの問題が解決に向かうことを願って止みません。
ちなみに鉱物資源の産出量データは独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が定期的に刊行している鉱物資源マテリアルフローに詳しいデータが掲載されています。
興味のある方はそちらも併せてご確認いただくと知見が深まると思いますので、参考にしてみてください。
【参考】JOGMEC 鉱物資源マテリアルフロー
https://mric.jogmec.go.jp/report/page/2/?category%5B0%5D=material_flow米中対立という地政学リスク、およびそこに端を発する経済安全保障上の課題が表面化した典型的な実例であり、日本の経済的利益を守る上で避けては通れない試練になります。本件は氷山の一角にすぎず、中国は引き続き国内法に基づき、”合法的”にあらゆる政策を打ち出してくるでしょう。日本企業にとっては厳しい時期が続くと思います。
ガリウムやゲルマニウムの加工品が幅広く、規制対象に指定されています。許可を得るための申告では貿易相手だけではなく、最終利用者とその用途まで申告する必要があります。中国当局は理由を明かさずに許可を出さないことができるため、制裁や報復だと明言せずに輸出禁止を行うことが可能です。
中国は近年、米国に対抗するべく、輸出管理に関する法整備を進めてきました。ついにそのカードを切るのか、注目されます。ただ対象が米国企業ではなく日本企業になることは十分に考えられそう。8月1日から施行とのことですが、7月中に日本独自の半導体規制が施行されることを考えると、その報復に使う可能性は否定できません。
商務部・税関総署の発表(中国語)
http://www.mofcom.gov.cn/article/zwgk/gkzcfb/202307/20230703419666.shtml