短国除く日銀の国債保有、3月末は53%で最高更新=資金循環統計
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日銀が得た最終的な利益は、準備金や出資者への配当に充当されるものを除き、国庫に納付されます。
このため、これだけ日銀が国債保有してれば、政府が支払う国債の利払い費も相当な割当で国庫に戻ってくることになります。金利変動時の評価損益の動きに関する日銀のこれまでの説明や、9年という平均残存期間(デュレーションではないので金利と値動きの関係は正確には分からい)を勘案すると、長期金利が3%ほど上がったら、日銀が保有する580兆円の長期国債は100兆円ほどの損失を生むでしょう。たとえそれが含み損でも損は損。いずれ必ず表に現れます。資本金1億円、内部留保5兆円の日銀が処理できる額でなく、何らかの形で国民負担に跳ね返ることは必至です。実際、米国の長期金利も欧州の長期金利も2~3年前に比べて3~4%ほど上がっていますから、あり得ない話ではありません。
暴れ出したら大変な問題を引き起こすリスクが目の前にあるのに、滅多に暴れないから誰も気にしない、いわゆる灰色のサイが目の前で育っているのです。日銀が国債を買い占めて取引される国債が薄くなっていますから、やんちゃな外国の投資家が暴れれば、金利に再び上昇圧力が掛かる可能性も否定はできません。
日銀が金利を低く抑え続けていられるのは、10%を超えるような強烈なインフレに日本が見舞われたわけでないからで、万が一にも物価と賃金が共振して上昇する欧米並みのインフレに我が国が陥ったら大変です。日銀が主張する通り、今年度を通じて見ればインフレ率が1.8%程度に収まり、2025年度は1.6%になると信じるほかありません。
灰色のサイが暴れ出さない限り、日銀が受け取る国債の利息等は国庫に納付されて政府の財政を潤します。しかしそれも、水面下で膨らむ巨大なリスクと引き換えです。財政赤字と量的緩和の組み合わせを続ければ続けるほど、灰色のサイは巨大化します。火中の栗を敢えて拾った日銀総裁ですが、緩和の出口で迎える困難が増大し続けているということにほかなりません (・・;