パナソニック、価格指定の「新販売スキーム」評判とは--狙いは「価値あるもの見合った価格で」
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品田CEOの以下の言及に、Panasonicのこの戦略の意図があると思っています。「毎年開発していたマイナーチェンジモデルに、貴重な開発リソースを振り分ける必要がなくなり、新たな需要を創造するモノづくりにリソースを割くことができるようになる」
Panasonicが抱いている現状の課題としては、おそらく、
小売側が発売年を一つの基準に値付けしており、家電によっては1年前に販売されたものがすでに「型落ちモデル」として値引され販売。それにより、競合もろとも翌年には新モデルの発売を余儀なくされる。これは、開発サイクルがメーカー機転でなく小売側の値引機転で起こってしまうことを意味しており、小売の値引機転により毎年の新モデル開発を余儀なくされることによって、注力したい別のプロダクトや数年先を目指したイノベーティブな開発へのヒトモノカネのリソースが削がれることになってしまう。
(Panasonicは、例えば競合他社が2023年最新モデルとして発売してきても、Panasonicの製品は2023年以前に販売した(例えば2021年の)最新モデルを同水準(同じ価格帯)で販売したい、できると思っていると推測します。)
よって、この課題を克服するための施策として、
これまでの小売側との商習慣を改め、余剰在庫はPanasonicが責任を持つ代わりに、販売価格の決定権を持ち、単に在庫処理目的で発売年を基準とした値付けから脱却。発売年に関わらず、競合他社のプロダクトと十分に戦える製品と判断したものはその値段据え置きで売ることにより、戦略的なリソース配分を実現できると思っているのだろうと。
Panasonic側が在庫の責任を持つため、できるだけ実需と同じ量の生産をしたいわけで、おそらく、小売店側の売れ行きを週単位で見ながら、都度生産量を調整しそれを実現しようとしているのだと思います。(以前は、先に投資計画があって、その量を実需がどの程度か不明なまま生産し、もし需要が予想を下回れば、小売り側に在庫が積み上がり、小売りは値引きで在庫処理に走るということが起こっていたのだと思います)
従って、この戦略がうまくいくかは、他社の毎年出す最新モデルのスペックとマーケに対して、Panasonicのそれ以前のモデルで同等に戦えるか、つまり、消費者側がそのようにとらえるかにかかっていると思います。
注目のコメント
注目している取り組み。
パナの根底には、松下幸之助氏の「水道哲学」、大量生産・供給で価格を下げ、良い品質のものを低価格で多くの方に提供する、というものがある。
一方で、適正利益が取れる製品・価格は経営の一丁目一番地。また松下幸之助氏の時代とは流通網も変わり、価格もリアルタイムで比較できるようになっている。
この価格変更で、在庫リスクはパナが持つが、価格決定権はパナが持つ。
在庫は運転資金を増やすという点でCFとしてはマイナス。それでも適正価格による利ザヤや、顧客に対して「買った後にすぐ値下がり」という体験を減らせる。
消費者心理として安い方がいいことは分かる。でも安いだけで買うわけではない。それでも買ってもらえる製品を作る・売る、ということ自体を製販一体で事業の意思決定の多くに浸透させるには時間がかかると思うが、それでもやらなければ脱却できない。
ソニーの経営改革も、価格・数量競争から決別したことも大きく、RX-100シリーズ(1インチのコンデジ)とかはその代表だと思う。Appleも、電子機器なのに値上げをするというのが、電子機器をずっと見てきた人間としては経営の最大の強さ。
パナソニック「指定価格」導入に揺れる家電量販店(2022年6月)
https://newspicks.com/news/7207728
パナソニック、退路断つ覚悟 量販店取引変更や値上げ(2022年7月)
https://newspicks.com/news/7348072
「値引きなし」パナソニック新戦略…家電価格を指定、量販店は「接客力で勝負」「アピール難しい」(2022年8月)
https://newspicks.com/news/7434690
パナソニック、「価格指定」を白物家電の50%に拡大 24年度、値引き競争を回避(2023年6月)
https://newspicks.com/news/8519841あくまで記事を読んだ限りですが。
1.新販売スキーム
視野が「自社」を中心にした販売店との間の価格(と在庫)にしか及んでいないように見受けられます。
価格は、主観的である価値(※)に対して「客観」的なものであり、取引する相手がいて初めて決まるもの。取引相手=顧客に複数の選択肢が存在するならば、自社コスト+利益という考え方以上に、「他社との相対的な位置関係」のもとで決まるものです。
自社が提供する製品に「決定的な差別化」がない限り、結局は中国を主とした他社製品との価格競争に巻き込まれ、販売量を減らすことになるのは容易に想像されます。
(※)価値は「主観」的なものです。例えば、他人がダサいと思った服でも自分がカッコいいと思うなら(効用を感じるなら)価値はある。逆に世の中でどんなに乃木坂の人気があっても、自分が好きでないならそこに価値はない。企業“価値”評価なんて主観のいい例です。
2.生産拠点に対する投資
工場内での取組みとして省人化を否定するものではないですが、「流通改革においては、新販売スキームとSCM(サプライチェーンマネジメント)が両輪になる」と言っておきながら、自社工場の取組みのみに言及されている点が気になります。
本来、サプライヤーへの発注・納品から生産、輸送、販売といった「ビジネスの全体的な流れ」の清流化を図ることが、利益・キャッシュフローにとって最も重要。その中の1つとして「省人化」を位置づけているなら、まだ理解できるのですが。
以上、1、2いずれにしても、線で見るべきところを「点でしか見ていない」、しかも全体の中で自社の位置を捉えるのではなく「自社を中心に自社の事だけを思考」している印象を受けます。
杞憂かもしれませんが。何やら否定的なコメントが多いように感じます。
確かに対競合も含めた需要が作用して価格が引っ張られるのは市場原理ですが、付加価値と納入体制、販売促進によって需要を生み出すこともメーカーの使命。
マーケットリーダーやプライスリーダーがこれをしないと、30年続いたデフレが終わらず市場がシュリンクしていくだけです。
パナソニックがやらなきゃどこがやる!?
世間に広く認められる付加価値をつけたり、販社に売る動機をつけるのは難しい道のりだと思いますが、
私は応援してます。