インパクト投資で初指針 金融庁、新規性や効果開示促す
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投資にあたって、従来の①リスク②リターンに加え、3つ目の軸として③インパクトが重要になってきたといわれて久しいが、その③の評価が今ひとつ曖昧であったのが、市場の課題だった。それを明確にするための指針が出てくるのは良いこと。ただし、客観性のある指標で効果を定量的に測定出来なければ、実務が回らない。ここにどう切り込むか、がこの次の課題。それが出来なければ指針は絵に描いた餅になる。
ちなみに、同様のことは、これから発行が予定されている20兆円のGX(グリーントランスフォーメーション)移行債(国債)にも言える。それが出来て市場参加者からきちんと評価される枠組みがワークしないと、GX移行債は、過大な利回り(→国民負担)を求められることになる。そこに早急な対応が求められる、と私は思う。
政府のEBPMアドバイザリーボード(経済財政諮問会議WG)でも、4月からその議論を始めています。
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/ab1/20230417/agenda.html「インパクト」は大事な概念で、投資家が注目し、事業会社もインパクトを計測し、開示すること自体は、良いことだと考えます。
一方で、「どういうインパクトを与えたか」は、各社のストーリーによるがゆえに、共通のモノサシがなく、いわゆる「盛る」ことができるということが悩ましいです。2つの会社が同じく「1兆円のインパクトを与えた」と主張しても、本当に同等なのか、よく分からないのが現状です。「インパクト投資」とはESG投資やサステナブルファイナンスの1手法で、「社会的課題の解決」と「経済的利益の獲得」の両立を目指します。
金融庁の指針策定の背景には「社会的に良いインパクト」をもたらす企業などに投資すると謳うことで、多くのお金を集められることが前提としてあります。ところが「社会的に良い」って何なのか、実際に効果はあるのか、ファンドの投資先を見るとそうでもない企業が多かったりと、あいまいだったことが問題でした。いわゆるESGウォッシュです。そこで問題を防ぐための指針ができたというニュースです。
指針には、①新規性の支援、②意図、③追加性、④特定・測定・管理の4つが挙げられていますが、特に投資家が重視していると私が聞いているのは④の「特定・測定・管理」。
たとえば、世界的に成功していると言われるインパクト投資ファンドの「ベイリー・ギフォード インパクト投資ファンド」では
・4つのインパクト・テーマを設定
・投資先企業との対話を通じてインパクト実現を促進
・企業がテーマに沿ってどう好ましいインパクトをもたらしたのか、継続的に評価・投資判断に活用
することとしています(要約は筆者)。
ここで重要なのは、社会的に良いことをしている事業と言ってお金を集めても社会的インパクトの結果が伴わなければだめですし、もちろん投資家ですからある一定の時間内で経済的な利益を得なければいけないということです。
日本ではこれまで欧州などに比べるとESG投資にそれほどお金が集まっていなかったこともあり、指針や規制の策定も遅れていましたが、少しずつ変わってきているということでしょう。