【新金脈】シリコンバレーの「昆布ビジネス」が熱い
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注目のコメント
研究者として、雑海藻を有効利用できないかという研究に関わっていました。
海藻をサステイナブル原料として捉えることに関してコメントします。昆布は製品としての価値が高いので、食品産業で出た昆布廃棄物か、あるいは雑海藻(雑昆布)がサステイナブル原料になるのかなと思いました。
<雑海藻とは?>
・例えば、かねてより歯舞諸島は品質の良い昆布が獲れることで有名であるが、ロシア(旧ソ連)に実効支配されている状況である
・日本と旧ソ連は協定を結び、入漁料を支払うことで夏期の一定期間、決まった海域で日本の漁船が昆布漁を行うことが許可されている
・ただし、昆布だけ採取するのではなく、昆布の生育を邪魔する雑海藻も同時に刈り取らなければならない(むしろ、雑海藻の方を多く採取)
・雑海藻は産業廃棄物となり廃棄にお金がかかるので、有効利用が模索されている
<サステイナブル原料として>
・養殖するのか天然の海藻を使うのか
・ダシを取れる昆布は高級食材なので、サステイナブル原料として使うとしても食品工場でダシを抽出した後の昆布が対象となる
・天然の雑海藻を使うとしても無尽蔵にあるわけでなく、生育範囲は太陽光が届くせいぜい水深数メートルの岩場に限られ、水生生物の住処になっているので採取は非効率
・海藻には化粧品原料として有用な保湿成分(カラギーナン)、医薬品になる可能性のある制癌作用を持つ多糖類(フコイダン)など付加価値の高い成分が含まれてる
・海藻はその重量の半分以上が水であること、塩分が含まれていること等から、何かの原料に使うには工業的に不利な点も多々あるので、「製造のサステイナビリティ」には課題があるいま世界では昆布スタートアップが急増しています。そこでシリコンバレーで注目されている気候変動スタートアップ、Macro Oceansの共同創業者のマシューと昆布トークをしてきました。
いまは超ニッチな昆布ビジネスに、なぜアグリテックの専門家と、グーグルで海藻を研究していた人物が、目をつけたのか。理由は、昆布という一種の植物(アカデミアでは植物とするか異論あり)が、ハイスピードで炭素を吸収して、化粧品、食品、産業素材(代替プラスチック)などをつくるための、有用な成分をたくさん生み出すところにあります。
シリコンバレー最大級の脱炭素ファンド、LowerCarbonのポートフォリオでもある彼らのビジネスについて、ぜひ「昆布大国」である日本のみなさんにも知ってもらいたいとおもい、記事をかきました。ポッドキャストでもしゃべっているので、ぜひ聞いてみてください。
昆布の採取量はどれくらいあるのでしょう。トウモロコシのように大量生産できるのでしょうか。昆布農場のようなものができるのでしょうか。昆布の大量採取で生態系が崩れることはないのでしょうか。
ニッチであるうちはいいのですが、産業としてスケールすることを考えると、クリアすべきことがいろいろと出てきますね。