【超図解】歴史を学べば「少子化」が分かる
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記事、また、コメントも非常に勉強になります。歴史から学ぶという視点は、人口学の世界の広がりを理解することにつながると思いました。
人口学の世界には、「出生」「死亡」「移動(国際移動・国内移動)」それぞれについての人口認識とそれに基づく政策の論点が含まれます。日本人口についていえば、「出生」―「死亡」において日本人人口が減少し、「国際移動」において外国人人口が増加しており、前者が後者を上回っているという状況ですが、その状況に対して国による法制度の整備が追いついていない印象です。社会政策の観点からいえば、減る「出生」への政策的対応だけでなく、増える「国際移動」への政策的対応が重要だと思っています。子どもが増えるのは、子どもが増えた方が得になる場合だけです。
この場合、「得」というのは、つまるところ自分にとっての得なのですが、それは所属している共同体の人間関係で決まります。
たとえば、人口100人の村で、生涯そこから出ることなく農業だけしながら生きていく人生だとしましょう。
その村では、人力だけが農業生産を増やす手段で、冬ごとに1割が餓死する社会だったとします。
若い者は、つがいになれ、子を産め、と、両親だけではなく村中から圧力をかけられるでしょう。
農業生産が増えなければ、年寄りは姥捨て山へ口減らしにやられるかもしれず、あらゆる手段で子どもを増やそうとするでしょう。
こういう社会では人口が増えていきます。ただし、技術が未発達なうちは生産力の伸びも限られ、乳児死亡率も高く、人口はそれほど増えません。
人類は、そういう前近代的共同体から解放されて、都市化し、製造業、やがてサービス業を中心に生きていくようになりました。
「マルサスの罠」では食料の供給が追いつかず、人口の伸びは止まるはずでしたが、農業の技術革新によって、食料供給の方が速く伸びていきました。品種改良と化学肥料、機械化などです。
産業が変化し、人間の共同体のあり方が大きく変わり、子どもが増えなくても十分生きていける社会になりました。
一部の国では、です。
世界中が先進国化して、食料も必要量の2倍あって、子どもが増えなくても個人的には誰も困らない社会になっているなら、もう人口は増えないはずです。
そうはなっていません。たとえばアフガニスタンでも、イエメンでも、発展はせずに人口が増え続けています。
人口ボーナスによる経済成長というのは、絶対そうなる、というものではありません。
中国とインドは、同じだけ人口が増えても、経済成長の度合いは違います。
人口が増えるだけで経済が発展するなら、パキスタンもナイジェリアもすでに経済大国です。
人口ボーナスを生かせない国、というのはあります。
そういう国はアフリカに多く、経済成長しないまま人口が増え、少ない富を奪い合って内戦になっています。
出生率の世界トップ3(6.0以上)、ニジェール、ソマリア、チャドは、まさにそういう国です。労働力も戦闘員も多いほど得な社会です。
50年もすれば、人類の半分はアフリカ出身者になっています。「少子化」について考える時に「人口学」は不可欠です。専門家への取材から人口学の要点と歴史が、図解でザックリわかる記事を作りました。
産業革命から現在までスライド形式で一気に振り返れ、人間と人口の歴史の大局観がつかめます。ぜひご覧ください。ご協力頂きました皆様、ありがとうございました。
【追記】
フランスについては移民による出生率増は確かにあります。ただ、移民による出生数の押し上げ効果は実は限定的で、それをのぞいても出生率は高いとの研究もあったため、ここでは移民については割愛しました。
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2020/03/france_01.html
【再追記】
番場先生、フランスについて追加の文献ありがとうございます。確かに移民に一言触れていても良かったですね。今後、より一層気をつけさせて頂こうと思います。
そして、小野さんご指摘のハーバー・ボッシュ法も大事ですね。ありがとうございます。